東上線「川越特急」登場、東武vs西武「春の陣」

観光輸送では西武が先行、競争か協調か

「川越という街のある東上線を広く知ってもらいたい。そして中長期的には『川越があるから東上線に住んでみたい』と思ってもらえることを狙っていきたい。当社は通勤しやすい沿線を目指しており、TJライナーも3月16日からスマホ・券売機(改札外)の双方から座席指定ができるようにする。通勤と観光の両面から東上線をブラッシュアップしていきたい」。東武の担当者はこう話す。

そのため、川越特急に関しては「ダイヤ改正をして終わりということではなく、東上線沿線のブランディング・認知向上を行いイメージを上げていきたい」という。

西武はどう迎え撃つ?

「川越」を軸に東上線のテコ入れを図る東武。では、西武鉄道はどう考えているのだろうか。

西武鉄道が西武新宿―本川越で運行する特急「小江戸」(筆者撮影)

西武は2012年から本川越駅に「時の鐘と蔵のまち」という副名称を付けているほか、有料特急「小江戸」を西武新宿―本川越間で運行している。東武が川越への観光客の送客に力を入れるのは気になる動向ではないだろうか。

西武の担当者は「これまで日光方面のPRが多かった東武鉄道が川越観光にも注力いただけることは、県内への誘客や経済効果の観点から鉄道会社や地域関係者がWin‐Winの関係を構築するチャンスであるので前向きに受け止めたい」と歓迎の姿勢だ。

そして「増加するインバウンド需要を当社の特色を出して取り込んでいきたい」という。今年3月には西武新宿駅をリニューアルで美装化するほか、訪日外国人向けの観光案内所「SEIBU Tourist Information Center」を設置するなど力を入れる。

2018年7月13日付記事「新宿『歌舞伎町』は2大私鉄の開発で変わるか」で取り上げたとおり、西武新宿駅に併設しているプリンスホテルは約8割が外国人の利用というほどで、インバウンド需要には大いに利があるだろう。さらに西武はほかにも沿線観光地として秩父があり、飯能には3月16日に「ムーミンバレーパーク」が開業した。そこで、埼玉県西部における観光地周遊のPRに力を入れている。

そのため、川越へ向けた新宿線の輸送は特に変更がなく、3月16日から池袋線にデビューした新型特急「Laview」の新宿線への投入も「現時点では考えていない」とのことだった。

西武はさらに強みがある。「本川越駅から蔵造りの街並みへ徒歩圏内」という点だ。これは、川越のようにふらっと訪れる観光地には大きな利点である。

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