ジミー・ライ氏が語る「香港騒乱」のゆくえ

普選なしでは香港は永遠に中国に鎮圧される

――中国の人民解放軍や武装警察隊が介入すれば、流血必至ではありませんか。

中国による香港介入はない。人民解放軍、武装警察隊が深圳に集結しているが、あれは脅迫でしかない。香港に介入することなどできやしない。介入すれば国際社会は制裁する。中国経済は、アメリカとの貿易で力が落ちかけている。失業人口もどんどん増えている。大学を卒業しても若者が就職できない。中国内部ではさまざまな問題を抱えている。

いま習近平は権力を自分に集中しようとしている。それは同時に、責任も全部習近平自身に帰すことを意味する。失敗したら、彼の失敗になる。反腐敗運動で党内でもたくさん敵を作った。こんな時期に解放軍を香港に送り込んで天安門事件の二の舞になったら、習近平自身がおしまいだ。

習近平は、ただただズルズルと引きずって、問題解決の糸口を探し続けるしかない。この活動を暴動に見せかけて鎮圧する理由をでっちあげるかもしれない。濡れ衣を着せるのが中国の問題解決の方法の1つだということをわかっている。だからこそ、細心の注意を払い続けなければならない。

脅迫を怖がっていたら、何もできなくなる

――抗議活動を過激化させているのは黒シャツを着た若者たちで、彼らは「勇武派」を名乗っています。彼らは一体どのような戦略をもって毎週末、警察と衝突を繰り返しているのでしょう。

今回の抗議活動には司令部がない。中国には習近平という総司令がいて、香港に対して長期的な戦略を立てている。これに対して、司令部のない抗議運動で対抗できるのかという批判があることは承知している。

しかし、若者たちがうまく取り組んでやっていることは見てわかるだろう。SNSを利用して、リアルタイムで情報を交換し、行動をうまく取りまとめている。今はリーダーがいないが、SNSを通して抗議活動を組織している。われわれはこれが最善であることを既に証明した。リーダーがいれば、リーダーが逮捕されたらすべてが終わる。しかし、リーダーがいなければ、誰も捕まえることはできない。皆の共通認識に同意さえできれば、自らのことを成し遂げることができる。

――ライさんが率いる『壹傳媒』グループは中国への返還後、広告出稿に圧力を受けるなど、陰に陽に中国の圧力を受けています。2年前には25%の社員のリストラを断行し、生き残りをかけています。

私個人のことを言えば、ずっと昔から何者かに監視され、その脅威を感じざるをえない。そして、その脅威は年々強くなっていて、今回の抗議活動が始まってから自宅を包囲されたこともある。しかし、私はそうした脅威を感じず、その脅威をもたらす人間を相手にしないようにしている。脅迫、恐喝を怖がっていたら、何もできなくなる。何かをしようとするたびに、その結果を考えないといけなかったら、何もしなくなる。だから、ずっと昔から私自身の命の安全への脅迫は感じないようにしている。

壹傳媒グループの本丸である『蘋果日報』を死守するため、不採算雑誌などを売却。今も記者、ニュースソースのアウトソーシングを進めている。そして残った社員には10%の株をシェアするようにした。そして、ウェブ化も同時に進め、今では1日のページビューは3000万にまで成長した。この春から有料会員制をスタートさせ、経営状態は2年前に比べると好転した。

こうした合理化を行うのも、中国に対してモノ申すことのできるメディアを香港からなくしてはいけないという一念からだ。

私は香港にいられる限り、闘いを止めることはない。仮に私が香港にいられなくなる日がやってきても、彼ら(社員、デモ隊)は闘い続ける。私たちを潰そうとしたら、それは仕方のないことだ。しかし、自ら退くことはない。停刊処分をされない限り、私が自らの手で『壹傳媒』を畳むことは決してない。

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