ジミー・ライ氏が語る「香港騒乱」のゆくえ 普選なしでは香港は永遠に中国に鎮圧される
――9月4日に、ラム長官は条例改正案を撤回すると表明しました。
遅すぎる。この撤回表明は、もはや何の意味もない。
深圳(セン)に人民解放軍を集結させ、解放軍を派遣するというデマを流し、デモ参加などを制限する「緊急状況規則条例」をちらつかせても、何の意味もない。香港人は脅迫には屈しない。
警察にデモを禁止される中、9月1日には10万人がデモに参加し、9月8日には2万人近くがアメリカ総領事館へ詰めかけ、「香港人権・民主主義法」の早期制定を求めている。われわれは普通選挙が実現できるまで闘い続ける。それは1年かもしれない。1年を超えてしまうかもしれない。
「デモの黒幕」「CIA」説はでたらめだ
――ライさん自身、デモに参加しています。
天安門事件後の30年間、支聯会(香港市民支援愛國民主運動聯合會)が主催する追悼集会を支持し、(私は集会に)毎年参加してきた。100万、200万人デモを呼び掛けた香港民間人権陣線と支聯会は、これといった提携関係はない。しかし、普通選挙の実現を求め、中国の鎮圧に反対する立場に一点の相違もない。
今回のデモも、私は1人の市民として参加しているだけだ。ただ、民主運動に長年参加していて、民主派のリーダーとは親しい間柄でもあるので、中国共産党は私を敵と見なしている。しかし、私個人は(中国共産党の)敵でもなんでもない。私の創業した新聞、すべてのメディアが「反送中=逃亡犯条例改正反対」(という立場)に立ち、その中で私は自らの主張を書いているだけだ。
私が黒幕となって(デモを)経済的に支援している、という人が少なからずいる。私のことをアメリカから派遣されたCIAと言う人もいる。しかし、証拠がない。でたらめだ。
――長引く抗議活動で香港を訪れる観光客は激減。株価も下がり、香港経済は大打撃を受けています。
今回の抗議活動が香港の経済に大きな影響を与えていることは否定できない。とくに、観光客向けの商売が一番影響を受けている。
抗議活動が香港市民の生活を破壊し、経済を衰退させることを誰も望んではいない。しかし、これは皆のため、香港を守るために闘っている。生活が少し不便になっても、商売が少々うまくいかなくなっても、しばらくは避けられない。
(香港経済や市民生活への)影響は短期的のものでしかなく、今われわれがこの抗争で求めているものは長期的な自由、法治、人権である。短期的には何かを犠牲にすることになるが、長期的な、永久的な穏やかな暮らしを手に入れる目標のためには致し方ない。
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