株投資でお金持ちになる「10銘柄投資法」とは 5年で資産を10倍にした「投資の達人」に聞く

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また、買うタイミングを計るのに、今の株価が割高かどうかを見ます。その際には一応PER(株価収益率)を参考にしますが、正直なところ今のPER水準だけを見て、一概に割安かどうかを判断するのは難しいと思います。大事なのは過去の推移で、これまで割高と思われていた水準から徐々にPERが下がってきたようなタイミングを狙うようにしています。「会社四季報プロ500」では、その銘柄のPER推移がグラフでチェックできるので、こちらも便利だと思います。

「偏りすぎず増やしすぎず」を意識、10銘柄限定で保有

いずれにしても大事なのは、テーマや銘柄の引き出しを増やしておくことです。1つの銘柄だけに集中投資するのはリスクが高いので、できれば複数の銘柄に投資したいところです。ただ、同じテーマの銘柄に投資すると、結局、値動きの傾向が同じになってしまい、複数銘柄に分散投資している意味が無くなる恐れがあります。なので、同一テーマで2銘柄以上を持たないことを心掛けています。

また、保有銘柄数は多くても10銘柄に限定します。特に昨今の相場環境からすると、2017年のようにどんどん株価が上昇していく感じはありませんし、外部要因が不透明なので、どこかで大きく下がることも十分に考えられます。

10銘柄というのは、基本的に自分がきちんとチェックでき管理できる銘柄数です。なので、それを超える銘柄には投資せず、新たに買う場合は、値動きが落ち着いてしまったものを利益確定させ、その代わりに新しい銘柄をポートフォリオに組み入れるようにします。

それと同時に、投資金額にも注意しています。前述したように、今は株価がどんどん値上がりしていく環境ではなく、場合によっては大きく下落することも考えられるので、自分が投資できる満額のポジションを持つのは危険です。大きく下げたところで買いに動けるよう、ある程度、キャッシュを確保しておいた方が良いでしょう。

特に昨年は、自分自身も下手に動いたばかりに損をするケースが何度もありました。正直、ポジションを持たない方が良かったと思う場面もありました。恐らくこれから先の投資環境を考えると、できるだけ投資金額は抑えて、下げ相場にも備えることが大事だと考えています。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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