このように伝えなければならない現実があるのだとすれば、それは資本主義が、私たちの社会が、とても居心地の悪いものになりつつあるということにほかならない。
エーブラハム・リンカーンが言ったように、かつてのアメリカは普通の人間を愛していたが、今では中流階級の普通の人間を愛せなくなってしまったようだとギャロウェイはいう。代わりに特別な人を新たな英雄として祭り上げ、他の人々は取るに足らないと思うようになってしまっているということだ。
だが現実問題として、大半の人々は特別な人間ではないはずだ。にもかかわらず私たちは、勝者がすべてを独占する経済をつくり出しているようだというのである。
資本主義の現在と未来をつかみとったこと
もちろん規模は違うが、同じことは現在の日本にもいえるのではないだろうか?
今回はスコット・ギャロウェイの発言に焦点を当てたが、ほかの4人、すなわち仮想通貨の開発者であるチャールズ・ホスキンソン、現在の資本主義を冷静に分析する経済学者のジャン・ティロール、文明論的な視点から歴史を読み解く歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ、そして若き哲学者のマルクス・ガブリエルの主張も同じように説得力がある。
立場は違えど、それぞれの視点から資本主義の現在そして未来をつかみとっているわけだ。そのすべてに共感できるか否かは別としても、要所要所で納得できるのは、きっとそのせいなのだろう。
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