中流家庭「普通の人」が生きづらさを増す根因

少数の超富裕層を生み出す資本主義の仕組み

1つの企業が巨大になり影響力を持ちすぎると、不正が起こるものだとギャロウェイは指摘している。もちろん、税金逃れもその1つだ。アメリカではこの10年間でウォルマートが640億ドルの法人税を納めたのに、アマゾンが納めたのは14億ドル。

このように企業が強くなりすぎると、税制の逆進性に行き着いてしまうということだ。

だが、人々はなぜそれほどに、お金に心を奪われてしまうのだろう? お金がすべてという経済の状況は、今後も続いていくのだろうか?

資本主義経済では、おカネがあるほどより良く健康管理ができ、長寿に恵まれ、ストレスも減ります。伴侶の選択肢も増え、子供が教育環境に恵まれ成功する確率も高まります。そのため、多くの人が高収入を得たいと思うのです。それにより、良いこともあります。人々の向上心を育むからです。競争とは素晴らしいものなのです。
大切なのは、未来に投資することです。良い学校があること、恵まれない人々にセーフティネットがあること。私たちは長期的な視野を持って、未来に確実に投資しなければなりません。(33~34ページより)

自分の子どもはスティーブ・ジョブズにはならない

ところでギャロウェイは、「GAFAの出現によって、アメリカ社会はどう変貌したのか?」という問いに対して、「アメリカは少々道を見失ったのだと思います」と答えている。

かつてのアメリカの目標は、大勢のミリオネアを生み出すことだった。よき市民として一生懸命働き、ルールを守りさえすれば、一生で100万ドル(日本円で1億円強)は貯蓄でき、経済的安定を手に入れられるはずだったのである。

しかし現在、状況は変わっている。巨大IT企業の出現と、それを後押しする経済政策のため、アメリカの目標は大勢のミリオネアを生み出すことから、少数のトリリオネア(1兆ドルの資産を保有する人)を生み出すことに変わってしまったのだ。

そのような状況下においては、1人の勝者が夢のような生活をする一方、その他の人々は無残に死んでいくことにもなる。このことについてギャロウェイは、「誰もが自分の息子が次のジョブズだと妄信する奇妙な“宝くじ経済”に陥っていると表現しているが、言い得て妙である。

自分の子供が次のジョブズになると信じている人に、私はこう言っています。「子供はジョブズにはならないと思った方が良い。その代わり、他の99%の人間も確実に一定レベル以上の生活ができるようにしなければならない」と言っています。(40ページより)
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