「男性は浮気の証拠を車に隠す」というネットの情報をもとに、夫の社用車を探ってみると、1冊の通帳と封書が出てきた。恐る恐る手に取ると、そこには浮気の証拠どころではない、とんでもない記録が残されていた。
「開いた瞬間は、内容を理解することができませんでした。“破産を申告します”といった内容の、自筆の手紙のようなものでした。信じられない気持ちのまま区役所の法律相談窓口を訪れたところ、『ご主人は1年前に、1000万円の借金を抱えて破産されています』と……。個人再生の真っ最中だったんです」
真っ白な頭のまま、帰宅した夫を問い詰めると、会社の都合で接待費を自腹で支払ってきたこと、営業の空き時間にパチスロにはまっていたことなどを告白した。
借金の用途はギャンブルだけでなかった
「今思えば甘いですが、夫は年収が1000万円ほどあり、生活費はそれなりに入れてくれていたのでまったく気づかなかったんです。さらに迫ると、女性の存在も認めました。後から弁護士さんに言われたことですが、一般的なサラリーマンは、ギャンブルだけで300万円以上の借金をつくることは難しいらしいんです。それ以上の額となると大抵女性に貢いでいるケースが多いと。まさにドンピシャでした」
あろうことかそのまま夫は家を飛び出し、連絡がつかなくなった。数日後、麗子さんのもとに家庭裁判所から離婚調停の申し立て書が届く。別居から半年後、「夫が2人の子どもの親権を放棄、月12万円の養育費と、引越し費用と支度金の計60万円を麗子さんに支払う」という形で離婚が成立。麗子さんは子どもたちを連れて実家へ戻ることになった。
「夫からの養育費と母子手当が支給されていたものの、借金まみれの夫から養育費がいつまでも振り込まれる保証はない、今の自分には職もない……。過干渉気味の母との同居生活も息苦しくて、日々不安で押しつぶされそうでしたね」
そんな折、麗子さんの住む地方自治体が実施する就業支援制度を知った。「シングルで前年度非課税」という条件のもと、医療従事者を目指して学ぶ者に対して、月に14万円の手当が3年間支給されるというものだ。これを逃す手はないと、麗子さんは即決断。
「支給対象となる職には看護師も含まれていました。“コスパよく職に就くことができ、どんな場所でも、長く稼ぎ続けられる仕事”としては最高だと判断しました。年齢も29歳、ギリギリいけるな、と。そこから半年間は必死で受験勉強に励みましたよ。英・数・国の3科目です。そして翌年の春に看護学校の試験に合格。看護学校へ通い始めたんです」
入学を機に年長と小1の娘を連れ実家を出て、近所にアパートを借りた。次女の保育園の送り迎えをしながら看護学校へ通い、家事育児も並行して行うハードな日々。あるとき、ふと息抜きに1人で入った飲食店で知り合ったのが2人目の夫となる男性だった。
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