人生は、思い描いていたとおりに進むとは限らない。予測もつかないタイミングで子どもを授かったり、1度は愛を誓い合った相手から思わぬ形で裏切られたり。「まさか」と思うような人生の落とし穴は、そこかしこに転がっている。
とくに子どもがいるうえでの離婚は想像以上に過酷であり、その後の人生をどう生きるか、否が応でも何らかの「選択」を迫られることになる。大人同士の事情で生じた生活の変化から、いかにして子どもたちを守っていけばいいのか。そのうえで自分自身の幸せをどう再構築するか。
2人の娘を持つ専業主婦だった千原麗子さん(39歳、仮名)は、夫の裏切りによる壮絶な離婚劇を通して無力さを痛感し、「自活する力」の構築を決断した。麗子さんが経済的自立を目指し奮闘した日々、その最中での再婚、そして自らの“意思”で2度目の結婚に終止符を打つに至るまでのストーリーを追った。
最初の夫が隠していた驚きの事実
「看護学校に入学したのは29歳。2人の娘を抱えて放り出されるように離婚した翌年のことです。看護師という仕事が好きとか嫌いとか、そんなことは考えたこともありません。とにかく女手ひとつで娘たちを成人させるためには、一生働ける安定した仕事に就かなければならなかったんです」
23歳の頃、1人目の夫となる男性と出会った。勤めていた金融会社の顧客で、医療関係の営業マンだ。彼は社交性と話術に長け、あっという間に麗子さんを魅了した。とんとん拍子に結婚話は進み、同時期に麗子さんは1人目の娘を妊娠。それ機に退職をして専業主婦になったものの、幸せな結婚生活は長くは続かなかった。破綻のきっかけは、1枚の旅行券だった。
「2人目の子どもが3才になり、結婚5周年を控えた平穏なある日のことでした。無造作に置いてあった夫の手帳からはみ出した旅行券を、たまたま見つけてしまったんです。能天気な私は、てっきり夫がサプライズで旅行を準備してくれているものだと思い込んでいました。でも日程が近づいてきた頃、夫が『出張が入ったので留守を頼む』と言うんです。おかしいと思いママ友たちに相談したところ、それは“クロ”だね、と指摘されました」
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