テリー・ゴウが台湾のトランプになり損ねた訳

「常勝将軍」を撤退に追い込んだ2つの可能性

庶民派で人気者の柯文哲氏は「次の次」である2024年の総統選に野心を持っている。まずは自らの政党・台湾民衆党を設立し、郭台銘氏の知名度や資金力を得ながら、5~10人程度の立法委員を当選させれば、将来につながるという思惑があった。

王金平氏も国民党の主流から外れているが、中南部の地方派閥に隠然たる影響力があり、経済界に強い郭台銘氏とは補完関係にある。それぞれ個性を生かす郭台銘、柯文哲、王金平の三者同盟が成ったかに見えた。

出馬断念前の世論調査では、もし郭台銘氏が出馬した場合、支持率は、民進党の公認候補で現職総統の蔡英文氏にこそ数ポイントは及ばないが、国民党の公認候補・韓国瑜氏(高雄市長)より上というデータが出ていた。

直前まで出馬を迷った2つの理由

国民党、民進党の二大政党の両方の中で、蔡英文氏あるいは韓国瑜氏に満足できない人々をひきつけ、さらに両政党に批判的な中間層の票も集めることができた。本腰を入れて選挙戦を展開すれば、それなりに善戦しそうな見通しもあったのだ。

それでも、台湾メディアによれば、郭台銘氏は16日の声明直前まで、出馬するかどうか迷いに迷っており、側近の部下も「どっちに転ぶかまったくわからない」と頭を抱えるほど、その出方が読めなくなっていた、という。

企業経営では、即断即決、有言実行の経営スタイルが売りだった郭台銘氏をそこまで優柔不断にさせ、最終的に撤退を決意させた事情はなんであったのだろうか。考えられる理由が2つほどありそうだ。

一つは、中国から何らかの「圧力」があった可能性である。今回の台湾総統選において、中国は一貫して韓国瑜氏をプッシュしているように見える。中国政府と密接な関係を有すると目される旺旺メディアグループ(中国時報、中天テレビなどを保有)は徹底的に韓国瑜氏を推していた。

中国側は、敵対勢力とみなす民進党・蔡英文総統の再選は回避したい。そのため、国民党の仲間割れは困る、という計算が働き、郭台銘氏に不出馬を働きかけたという想像は自然に湧いてくる。

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