三菱自動車復活へ"プリンス"に託す舵取り 生え抜きの相川氏が社長に、父は三菱重工元会長

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相川氏にとって、目下の課題は自動車メーカーの本分である「売れる車」づくりだ。「新社長には商品力の強化や品質向上に特に力を入れてもらいたい」(益子氏)。

今期最高益を見込む三菱自動車だが、その中身を見ると、円安による押し上げ効果とコスト削減が大きい。主力市場のタイでは、前年にあった補助金が剥がれた影響に加え、政情不安により販売は当初の予定を下回っている。期初には15万7000台だったタイの今期販売台数計画は、昨年10月に10万3000台へ、今年2月には9万台強に引き下げた。

国内での存在感も薄い。2013年の三菱自動車の国内販売シェアは2.8%(前年比0.1ポイント減)と国内メーカーでは最下位。ここ数年で出した新型車も発売時の販売目標になかなか届かない。2012年8月に投入した「ミラージュ」は初年度の目標は3万台だったが、最終的な着地は約1万8000台だった。健闘しているのは日産自動車と共同開発した軽自動車「ekワゴン」ぐらいだ。

技術とデザインでブランド再構築

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成長の中核を担う「アウトランダーPHEV」

4月から始まる中期計画の3年間は、直近の3年間に比べ3割増の年平均800億円を研究開発に投じる。相川氏は「技術とデザインでもう一度三菱ブランドを構築したい」と意気込む。

その中心となるのが、新中計でも掲げたSUV(スポーツ用多目的車)、そして電気自動車やプラグインハイブリッド車を含めた「電動車両」だ。

競争の激しい分野だが、成功の兆しはある。昨年1月に発売されたSUV(スポーツ用多目的車)の「アウトランダーPHEV」。電気自動車としても、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車としても使えるプラグインハイブリッド車だ。発売後に車載電池が溶ける不具合が発覚し、4月からの4カ月間生産を停止するトラブルに見舞われた。だが、受注の勢いは衰えず、8月の生産再開からすぐ、月産能力を2000台から4000台に倍増させた。今年度の生産は3万台、欧州全域への投入を控える来年度は少なくとも5万台を見込む。リチウムイオン電池を生産するサプライヤーの生産能力を考えると、現状では最大限の台数だという。

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