三菱自動車"完全独り立ち"に向け残る懸念 2100億円の公募増資で優先株を処理するものの・・・・
「ずいぶんと時間がかかった」――。
記者会見の席で、三菱自動車の益子修社長はそう感慨深げに語った。同社は11月6日、公募増資と2014~16年度の中期経営計画を発表した。増資で最大2100億円を調達。その資金で三菱グループ4社が持つ優先株を処理する。
2000年と2004年に発覚したリコール隠しに端を発し、三菱自動車は当時深刻な経営危機に陥った。そこに手をさしのべたのが、三菱グループ。三菱自動車が発行した優先株式を各社が引き受け、再建を支援。現在もグループの中核である三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の御三家に、三菱UFJ信託銀行を加えた4社が約3800億円の優先株を保有している。
三菱自動車は、発行価額から平均25%割り引いた額で、三菱東京UFJ銀行、三菱商事、三菱UFJ信託銀行から優先株のすべてまたは一部を買い入れたうえで消却する。三菱重工業は現在保有するすべての優先株を普通株に転換する。また御三家の議決権比率が34%以上、かつ三菱重工の議決権比率が20%以上になるように3社で調整する。
復配へ大きく前進
優先株処理のメドがつけたことで、普通株への16年ぶりの復配が見えてきた。三菱自動車の優先株については額面の5%の配当を行うことが定められており、現在、優先株に対する配当総額は約200億円。2013年3月期の当期純利益が379億円の三菱自動車にとっては重い負担となるため、優先株への配当は一度も行われていない。
ただ、今年6月にはそれまでの累積損失約9200億円を一掃し、配当原資の確保に向け準備を整えていた。財務担当の市川秀副社長は「今年度中に優先株の買い入れ消却を終えて、次の定時株主総会で復配宣言をしたい」との考えを示した。
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