三菱自動車、過去最高益に潜む不安 8年半にわたる経営再建が大詰め
三菱自動車が10月29日に発表した2013年4~9月期(上期)の売上高は9290億円(前年同期比8.0%増)、営業利益は508億円(同64.9%増)と過去最高となった。
同社は2000年、04年にリコール(回収・無償修理)隠しが発覚。経営危機に陥り、再建に力を注いできた。同日記者会見した益子修社長は「約8年半再生計画に取り組んできたが、色々な施策がようやく利益に繋がるという状況になってきた」と明るい表情を見せた。日産自動車と共同開発した軽自動車「eKワゴン」の順調な販売や、赤字を垂れ流していた欧州の生産子会社を売却により止血できたことを要因として挙げた。
2014年3月期通期の業績予想は売上高2兆1300億円(前期比17.3%増)、営業利益1000億円(同48.4%増)を見込む。こちらも営業利益は過去最高となる見通しだ。
主力市場のタイは販売苦戦
ただし、好決算を手放しでは喜べない。上期の世界販売台数は49万9000台と前年同期比で4%増となったものの、期初計画の54万台を達成できなかった。
最大の要因は、三菱自動車の主力市場であるタイでの販売が伸び悩んでいること。政府による新車購入優遇措置「ファーストカー・プログラム」が昨年末に終了した影響が尾を引いているのだ。タイでの売れ筋であるピックアップトラックは利益率が高く、収益へのインパクトは大きい。これらの販売が落ちても、過去最高の利益を達成できたのは、コスト削減の効果と円安の追い風があるからだ。
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