三菱自動車、過去最高益に潜む不安 8年半にわたる経営再建が大詰め

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日産と共同開発した「eKワゴン」(撮影:大澤 誠)

中間期の販売台数の低迷を受けて、通期の世界販売台数計画も期初に計画した116万9000台から111万1000台に引き下げた。

益子社長は「今年は一過性の調整局面。タイやフィリピンなど総需要は伸びており、全体的にダメという認識は持っていない」と言うが、タイの政策効果がなくなるのは期初からわかっていたこと。三菱自動車の見立て以上に落ち込んでいるのは、今後に不安を残す。

優先株処理「現在確定したものはない」

三菱自動車のもう一つの課題は、優先株の処理だ。経営危機に陥った際に、三菱グループが優先株を引き受けており、現在も三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行の4社が総額約3800億円を保有する。(関連記事「三菱自の再建最終章、カギ握る御三家の思惑」

今回の決算会見の席では、その処理方法についての説明はなかった。目下、三菱自動車は2014年4月から始まる新しい中期経営計画を策定しており、それと合わせて発表するとみられる。「(中期計画の策定作業は)もう佳境だ。資本政策がからむため、きちんと理解してもらうために丁寧に説明していく必要がある」(益子社長)。

優先株処理にメドをつけたうえで、16年ぶりの復配へとつなげる見通しだ。「今年度中にすべての準備を終えて、来年の次回株主総会で復配にこぎ着けたいと、今年の総会で述べた。今現在確定したものはないが、基本的にはその線に沿って準備を進めている」(市川秀副社長)。

最高益をたたき出し、収益体質の改善が進む三菱自動車。次のステップへどのような戦略を打ち出すのか。注目が集まっている。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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