静岡県知事「リニア工事も空港駅も全部話そう」 大井川の水資源「失われれば戻ってこない」
工事によって毎秒最大2トンの水が出ると予測されていますが、そんなところがほかにありますか。南アルプスのトンネルを掘って出た湧水は全量を大井川に戻さないといけない。4~5年かかりましたが、ようやく昨年秋にJR東海から「全量を戻す」とお約束いただきました。しかし今回の回答書で、全量を戻す技術的な体系ができていないことがわかりました。問題点が明確になったのです。
南アルプストンネルの静岡と山梨の工区の間に畑薙山断層があります。断層は水がたまりやすい場所なのです。現場に行くとわかりますが、畑薙山断層の途中から水が噴き出しています。トンネル工事で畑薙山断層を掘ったら大量の湧水が発生することになります。トンネルは静岡県側が高く、山梨県側が低いので、水は山梨県側に流れていきます。静岡県は膨大な水を失ってしまいます。
水は失われると戻ってこない
かつて東海道本線の丹那トンネルを掘っていたとき、丹那断層にぶち当たって芦ノ湖の3倍ともいわれるほど大量の湧水が出ました。当時の丹那盆地には水田があり、わさびも作っていた。でも今は水がなくなって牧草地です。酪農を行い丹那牛乳がここで作られています。水が失われると戻ってこない。そういうところを掘るのでしたら、もっと慎重でないといけない。
トンネルがつながったら全量戻すとJR東海は説明していますが、「水がめ」から水が出てしまったあとに残りの水を戻すというのはとんでもない話です。サッポロビールの工場が焼津にありますが、大井川の地下水を使っています。また、2008年の北海道洞爺湖サミットで「世界で最もおいしい日本酒」として乾杯用のお酒に採用された「磯自慢」も大井川の地下水を使っています。磯自慢酒造の社長からは「水脈が途切れると、うちはやっていけない」という趣旨の、悲鳴のような手紙をもらいました。
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