「明るい曲」が流行すると景気は良くなる

テキストマイニングで相関を分析してみた

今回の分析では、1980~2018年の39年分の年間ヒット曲トップ10の歌詞データを「極性スコア化」することにより、各年代ではやった曲の「明るさ」(暗さ)を指数化した。ヒット曲トップ10はUSEN-NEXT GROUP・ 音楽配信企業最大手のUSENなどより選んだ。

「極性スコア化」とは、さまざまな単語と単語が持つ感情がポジティブかネガティブかという観点で数値をひもづけした辞書(極性辞書)を用いて、文章全体の感情をスコア化することである。

使う極性辞書によって結果は多少異なるものの 、ここでは一般的に用いられることの多い東京工業大学の奥村・高村研究室の「単語感情極性対応表」を用いた。

「単語感情極性対応表」は収録単語数が約5万語で、ある単語が「肯定的な印象」を与える場合、その度合いにおいて0から1までの数値を与え、「否定的な印象」与える場合、その度合いによって0からマイナス1までの値が付与されている。例えば、「楽しむ」という単語のスコアは0.996427と、ほぼ1であるのに対して、「怖い」はマイナス0.997999となっている。

1980~2018年のヒット曲で多く使われる「ポジティブワード」は「好き」が圧倒的に多く、「一番」(「ベスト」)なども多かった。他方、「ネガティブワード」で多かったのは「別れ」や「悲しみ」などだ。

「ヒット曲」と「名目GDP」には正の相関

年間ヒット曲ランキング・トップ10の歌詞データを年ごとに極性スコア化した結果、名目GDP(国内総生産)成長率と連動性が高いことがわかった。1980年以降で相関係数は0.53であり、一定の正の相関があるといえそうだ。1989年以降の日本ではヒット曲の歌詞の中に「ネガティブワード」が増加し、暗い曲が増えていく中、名目GDP成長率の鈍化が進んできたことがわかる。アベノミクスが始まった2012年以降は一時的に極性スコアが上昇し、明るい曲が増えたが、ここ数年は再び極性スコアが低下している。

なお、民間最終消費支出(名目)の前年比との相関は0.58と、名目GDP成長率よりも相関が強い。ヒット曲と景気の関係は、個人消費を介してつながりがある可能性が高そうだ。

次ページ「ヒット曲」から「名目GDP」へ波及するという経路
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