日経平均株価1万6000円予想を変えない理由 2度あることは3度あっても不思議ではない

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市場には「米中通商交渉への期待」がかなりあるが、かなり危うい(写真:AP/アフロ)

9月5日(木)あたりから、世界的に株価が上昇を強め、筆者の株価下落見通しが全く外れる展開となっている。読者の方々には大いにご迷惑をおかけしていると、心苦しく感じている。心よりお詫び申し上げたい。

それでも「日経平均株価が今年のうちに1万6000円に向けて下落するだろう」、という見通しそのものは変える必要がないと考えている。とは言っても、安値の時期については、これまで「7~9月のどこかで」、と予想してきたものの、現実問題として9月末までに1万6000円に達することはほぼ不可能だ。このため、大変恐縮ではあるが、安値の時期を10~12月のどこかで、という形に修正したい。当初の年央あたり(6~7月)が安値というシナリオから2度も先送りすることとなり、合わせてお詫びしたい。

なぜ下落シナリオそのものは否定しないのか?

国内株価の下落シナリオを修正しないのは、株価以外については、ほぼ予想していたような推移となっているからだ(「株価見通しが1番肝心だろう」、という厳しいツッコミが入りそうだが)。

主要国の経済は着実に悪化しており、国際情勢も不透明さが晴れていない。そうした経済環境を背景に、多くの国の中央銀行は緩和方向に進んでおり、長期金利も足元やや戻してはいるものの、引き続き低位で推移している。こうした多くの要因が、世界的な経済悪化シナリオに沿った形で動いているのに対して「株価だけが堅調だ」、ということになれば、いずれ株価が経済実態に沿う方向、つまり大幅な下落に陥る、と見込むべきだろう。

述べたうちの国際情勢、特に先週の株価上昇の背景にあった米中通商交渉の状況については、後で詳しく解説するとして、まずは経済環境について解説したい。一般論として、景気が全般に後退に向かう場合でも、全ての経済指標が例外なく悪くなるわけではない(良いものも悪いものも存在する)し、傾向的に悪化していく経済指標でも、時折明るさが混じることもある。そのため、足元も、強めの経済指標も見出せるし、悪化していた経済指標で短期的に戻りを見せているものもある。

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