内陸を走る総武線の「海抜」が京葉線より低い謎 地盤沈下で海沿いの埋立地と高さが逆転

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都内東部(一部千葉県)で2路線を比べてみよう。以下は駅のある場所の地表の海抜である。両路線とも高架上に線路が敷かれている所が多いが、その場合レールがある高架上の高さではない。駅を例に挙げているので、駅前広場の海抜といってもいい。

<総武線>
両国駅 海抜(以下同)1.5m、錦糸町駅 0m、亀戸駅 マイナス1m、平井駅 マイナス2.5m、新小岩駅 0m、小岩駅 1m
<京葉線> 
潮見駅 海抜3m、新木場 4m、葛西臨海公園駅 4m、舞浜駅 2m、新浦安駅 5m

上記区間では京葉線の駅がいずれも海抜2~5mあるのに対し、総武線はすべて海抜1.5m以下。亀戸駅や平井駅にいたっては海抜がマイナス、すなわち海面より低い。

数mが水害時の大きな差に

わずか数mの違いではないか、と思う方もいるかもしれないが、海抜0m前後での数mの違いは、洪水など水害時の被害の大きさの点など、大きな差といえる。

東京都建設局「低地河川の整備」に筆者加筆(『「水」が教えてくれる東京の微地形の秘密』実業之日本社より)

平井駅は荒川の近くにあるが、そこから荒川を約7km流れ下り河口付近にある新木場駅のほうが、平井駅より約7mも標高が高いのである。

なぜこうした沿線地形となったのだろうか。都心の東側は一見平坦であり、坂道もほとんどない。だがここには、海抜0m以下のマイナスの凸凹地形が広がっている。

東京の下町低地では、大正時代から昭和40年代にかけて、工業用地下水の過剰な汲み上げと天然ガス(メタンガス)の採取が原因で、広域にわたり地盤沈下がおきた。最も顕著な江東区南砂2丁目(東京メトロ東西線東陽町駅の数百m東側)では約50年の間に約4.5mも沈下した。ビルの1階分の高さがまるまる沈んでしまったことになる。

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