不都合だらけ「強制転勤」はこうして撲滅できる どんどん声を上げていくしかない

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――実際に海外転勤を命じられたご家族で、どんな困り感が生じているか教えてもらえますか。

中野:労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、国内転勤で赴任1週間前、海外でも赴任1カ月前の辞令がザラにありました。転勤辞令が下るのは、本当に直前だということです。

海外赴任ですと、単身赴任、家族帯同、家族が半年ほど遅れて行くなどのパターンがありますが、いずれも夫婦共働きですと家族に大きなコンフリクトが生じます。では単身赴任でいいじゃないかという意見もあると思いますが、例えば妻と子が日本に残った場合、完全に育児をワンオペで回さなければならない。それまで夫が朝は保育園に連れていき、妻が保育園からピックアップするなど何とか2人でやり繰りしていたのが、急に行き詰ってしまう。

家族帯同となった場合は、付いていく側が現在の会社を辞めなくてはいけなかったり、辞めて現地で仕事をしようにも、とくに海外はビザの問題も絡むため「夫の会社ブロック」があったりして、なかなか働くこともできない。付いていく側のキャリアが完全にブランクになる問題が頻発しています。

帯同先でのリモートワークを認めるケースも増えてきた

――今の話ですと、基本的に男性の転勤が前提ですが、逆に女性が転勤するという事例もありますね。

中野円佳(なかのまどか)/ジャーナリスト。東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍。東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。金融機関を中心とする大企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。2014年、育休中に立命館大学大学院先端総合学術研究科に提出した修士論文を『「育休世代」のジレンマ』として出版。2015年に新聞社を退社し、「東洋経済オンライン」「Yahoo!ニュース個人」などで発信を始める。現在はシンガポール在住、2児の母。その他の著書は『上司のいじりが許せない』(撮影:今井康一)

中野:今までは男性が転勤すると、配偶者が同行せずに単身赴任するか、配偶者が同行するために退職するか、もともと無職かのパターンが多かった。ところが最近は、配偶者は同行せずとも子どもが帯同するケースもあります。パパを日本に置いて、ママが子どもを連れて海外に出る、あるいは事例は少ないですが逆パターンもありますね。

会社の制度も変わりつつあり、配偶者帯同休暇や再雇用制度を設ける会社や、帯同先でのリモートワークを認める場合もありますね。

青野慶久(以下、青野):リモートワークの話、サイボウズの中ではホットトピックですよ。サイボウズは働くお母さんが多いのですが、よその会社にお勤めの旦那さんの強制転勤が多くて、毎年、何人も相談があるんです。

中には休職するケースもありますが、サイボウズでここのところはやっているのがリモートワーク。最近の事例ですと、イタリアのナポリで在宅勤務を始めた社員がいます。「今、ナポリのカフェで書いています」なんて報告を書いてきて。東京勤務の社員がそれを見て「いいな〜」って。

中野志水:いいですね(笑)。

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