「半身不随の43歳男」身にしみた健常者の無慈悲 「歩きスマホ」でさえ障害者には大きな恐怖だ
つい先日も、青森市営バスの運転手が、バスに乗車しようとした車いすの40代女性に対し、「事前に電話しろ」と発言し、乗車を拒むような言動をしていたことが発覚した。公共の乗り物だからこそ理解が必要なはずなのに、いまだ社会の理解は深まっているとは言いがたい。
「タクシーの乗車拒否なども散見されます。ですが、中には障害者手帳を見せずに『俺は障害者だ』と言い張って割引を迫る乗客もいると聞きます。また、料金確定後に手帳の提示をすると、再度料金を打ち直す必要があるなど、オペレーションの部分で齟齬が生じてしまうケースもあります。そういった煩わしさを敬遠して、溝が大きくなってしまうことはあると感じています」
無関心、無自覚も「痛み」に変わる
輪をかけて、「関心のなさ」を痛感する機会も少なくないという。
「電車の優先席付近に立っていても、何も起こりません。いちべつしたのに、『大丈夫だろう』と思うのか動かない……。僕は、ヘルプマーク(周りに援助や配慮が必要であると知らせるマーク)を杖に付けているのですが、そもそもヘルプマークの存在を知らない人が多いので、『30代っぽいし、大丈夫か』と動いてくれない。大丈夫じゃないから付けているのに!(笑)。そういった人たちは、自分が差別したり偏見を持ったりしているとは思っていないでしょう。でも、障害者からすると、無関心、無自覚も痛みに変わってしまうんですよね」
先のNHKのアンケートでは、もう1つ、「自分自身に障害のある人への差別や偏見があると思うか」とも尋ねている。その結果、「かなりある」は3%、「ある程度ある」は22%にすぎなかった。対社会に関しては、約8割が差別や偏見があると回答しているにもかかわらず、自分の話となると「そうは思っていない」と4人に3人が答えている。
「自分もそう感じていたかもしれません。でも、当事者になると全然違うんだなって。差別や偏見をなくすだけが、障害者への理解にはつながりません。障害者に対する個人への理解をうたうなら、社会が率先してアップデートするような仕掛けを作らないと、なかなか難しいのではないかと思ってしまいます」
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