「半身不随の43歳男」身にしみた健常者の無慈悲 「歩きスマホ」でさえ障害者には大きな恐怖だ

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そういった現状を踏まえ、サシダさんは、何かに頼ること以上に、自立をしなければいけないと悟ったという。

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「駅でもホームの端にエレベーターがあるなんてことはざらです。ですから、現在僕は、エレベーターなしのマンションの3階で一人暮らしをしています。近隣に両親が暮らしているため同居することも考えましたが、親が死んだときに、その甘えのツケが回ってきそうで不安でした。今のうちから極力、不自由ながらも自分の身体で動く習慣をつけておかないといけないだろうと。多少強引かもしれませんが、こういった判断ができたのは、いざとなったらサポートしてくれる友人や家族がいるおかげです。無援で社会に放り出されていたらと思うと……想像もしなくたいですね(苦笑)」

「2度目のパラリンピック」だからこそ

現在、サシダさんは、かねてから親交のある福本伸行先生(代表作に『賭博黙示録カイジ』『銀と金』など)のアシスタントとして漫画家活動を送る。2018年2月からは、Twitter上で生死をさまよった話や障害者として感じたことなどを漫画として発表している。

「おこがましいかもしれませんが、障害が残った自分だからこそ気がついた視点や、健常者との差異などを発信していきたい。障害に対する寛容さや理解が不十分と感じるからこそ、漫画という形でわかりやすく伝えていければ。不幸中の幸いだったのは左手ではなく、漫画を描いてきた右手には障害が残らなかったということ。勝手に使命を感じて(笑)、健常者と障害者の懸け橋となれるような作品を作れたらと思います」

来年は、東京でパラリンピックが開催される。実は、1964年東京オリンピックの際に、初めて「パラリンピック」という名称が採用されている。つまり、東京は第1回目の都市としてパラリンピックに臨み、2020年は同じ都市でパラリンピックが開催される“初のケース”となる。2度目のパラリンピック、その意味はとてつもなく大きい。ホスト国として、一人ひとりが障害に対して正しい理解を持つこと。無関心、無自覚を止め、われわれもきちんと向き合わなければいけない。

我妻 弘崇 フリーライター

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あづま ひろたか / Hirotaka Aduma

1980年北海道帯広市生まれ。東京都目黒区で育つ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始する。2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターとなる。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開している。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。

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