張本勲「批判殺到でもTVから干されない」必然 それでいいのか「サンデーモーニング」制作者

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さらに、梅沢には大衆演劇で培ってきたサービス精神があった。大衆演劇は、歌舞伎や能のような伝統芸能とは違う。どんな手を使ってでも目の前の観客を笑わせ、楽しませる必要がある。そんな梅沢は、バラエティ番組の現場でも視聴者を楽しませることに長けていた。場の空気を壊さず、求められたことは何でもやる。そんな梅沢の姿勢が評価され、彼はどんどんテレビの仕事を増やしていった。

張本の存在もこれと同じだろう。むしろ、張本が出演する「サンデーモーニング」は、司会の関口宏をはじめとして高齢の出演者が多く、明らかに高齢の視聴者をターゲットにしている。張本の発言がしばしば話題になるのも、それだけ注目されていて影響力がある証拠だ。

高齢タレントは「必要悪」

個人的には、テレビにそのようなタイプの高齢タレントが出演するのは一種の「必要悪」だと考えている。それで視聴率を取り、ビジネスが成り立っているのなら、外野から言えることは何もない。

ただ、不勉強で不見識な老害タレントが、新しいことを学ぶのを拒否して、時代遅れの主張を繰り返している姿は、まともな感覚を持った社会人や、これからまともな感覚を持つべき子どもたちに対して、広い意味で有害であるのは間違いないだろう。

放送事業者が守るべきルールを定めた放送法第4条では「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定められている。張本を起用し続ける「サンデーモーニング」の制作スタッフは、自分たちはこのルールを守っていると胸を張れるのだろうか。

すでにその大部分が老人向けメディアと化しているテレビにおいて、老害の種は尽きることはない。私たちにできるのは、どうしても我慢できないときにテレビを消すことだけだ。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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