ランボルギーニをサーキットで走らせてみた ウラカンEVOは扱いやすくてもナンパじゃない

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今回、EVOの進化が感じやすいシーンとして、もうひとつテストトラックが用意された。広大な走行スペースに、パイロンによるジグザグ走行を行うコース(スラローム走行)と円形に配置されたパイロンに沿って円を描くように走らせるコース(定常円旋回コース)のふたつを設けたものだ。まずはスラロームのコースを試す。ここで威力を発揮するのが、後輪操舵機能だ。

スラロームコースで体感した、最新マシンの奥深さ

これはフロントよりも切れ角はずっと小さいが、リヤタイヤに舵角を与えることで、小回り性を高めることができる。右、左とパイロンの間の身軽に駆け抜けるウラカンEVO。ドライバーの取り回しの感覚は、ウラカンが小さくなってしまったのではないかと錯覚させるほど。この身軽さは、まるでコンパクトハッチバックを操っているようだ。

念のため伝えておくが、ウラカンEVOは全長4797mm×全幅2030mmのワイドなボディを持ち、ホイールベースは2620mmもある。続いて、もうひとつのコースで、定常円旋回に挑む。後輪駆動車の場合、クルマは円を描くように走行させ、スピードを高めていくと、リヤタイヤがスライドし、ドリフト状態となる。

運転席の様子。赤いシートがスポーティな印象を与える(写真:LEON編集部)

つまりここでEVOをドリフトさせてみようというわけだ。通常、リヤタイヤが滑り出した後は、その状態を維持するために、繊細なステアリング操作とアクセルコントロールが求められ、失敗すれば、クルマは即スピンする。またEVOは、フルタイム4WDということもあり、一般的には、滑らせにくいクルマといえる。

ところが、そのセオリーに反して、ハンドルを一定に保ち、アクセルを踏んでいけば、クルマがドリフト状態となり、それを維持してくれるというのだ。

正直、半信半疑で、コースインし、ステアリングを切りながら、円を描くように走行させ、アクセルを徐々に開けていく。綺麗な円を描くにはコツは必要なので、私のスキルでは、このコースではアクセルとの格闘となったが、驚くべきことにアクセル操作をラフに行っても、クルマは決してスピンしない。

これこそ、LDVIの優れた性能を示すシーンであり、ウラカンEVOの真骨頂なのである。綺麗な円を描くことは叶わなかったものの、ウラカンEVOを短時間とはいえ、ドリフト状態にできたのは感激であった。

ウラカンEVOは、ペルフォマンテなどのスペシャルモデルやトップモデルアヴェンタドールで培った最新ランボルギーニの技術を惜しみなく投入した、まさにウラカンシリーズの集大成ともいえるモデルだ。

上記のようにドリフトだってお手のものである。ただ誤解してはならないのは、ハイレベルな運転を簡単に行えるようになったということよりも、ドライバーがウラカンEVOとの対話を強めていくことで、ステップアップを助けてくれるように進化していると理解すべきだろう。それは新生ランボルギーニの新たなアイコンとなった戦闘機の操縦桿に備わるロックオンボタンを彷彿させるカバー付きスタータースイッチも物語る。

富士スピードウェイに並ぶ試乗車(写真:LEON編集部)

やはり、ランボルギーニに乗るということは、大人としての覚悟と理性が求められるのだ。ウラカンは、より優れたクルマへと進化を続けているが、扱いやすい側面は、必ずしもナンパなクルマになったことを意味するわけではない。それはウラカンEVOでサーキット走行を通して感じた率直な気持ちである。モード切替の「ANIMA」に代表されるように一皮抜けば、いつでもファイティングブルは目覚める。やはりランボルギーニは、そういう一面を持ち合わせるクルマなのである。

(取材・文/大音 安弘)

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