店舗数を急激に増やす飲食店はだいたい危ない ゆで太郎・富士そば社長対談(下)

拡大
縮小

国内、海外ともにハデな話題が出てこないが、それが日常食を提供するという難しさを表しているのかもしれない。それでは、これからの立ち食いそばは、どうやって生き残っていくのだろう。

:出店でいえば、どのぐらいの規模の駅までいけるか、という限界値が見えたかなという部分があるんです。そもそもなんですけど、そんなに拡大志向の会社じゃないので。それこそ今134店舗で、1都3県から出ないという前提であれば150~160ぐらいの出店が目標で、あとは店舗の入れ替えみたいになるのかなというイメージですね。

もう、国内に関しては大量にモノを仕入れれば安くなるという時期ではないと思っています。それこそ、1000店舗レベルになれば状況が違うのかもしれませんが。

拡大しない企業はつまらない

池田:いや、私は3000店のチェーンをやったことがありますが、すべての店舗で通年同じメニューなんてできないから、スケールデメリットになりますよ。ゆで太郎の200店ですら、すぐ材料が数トンになっちゃう。メニューを1、2カ月で変えるなら2、3トンという取り方ができますが、通年になると何十トンにもなる。

だから店舗については、私も別にそんなに増やさなくたって、と。200店を達成したら次は300店とか言ったりしますけど、コミットメントして、いつまでに300を達成という気持ちはありません。全国に店が増えたらいいなというぐらいですね。

ただし、拡大していない会社はつまらないですよ。新しい社員が入ってきてもポジションがない、自分のやりたいこともできないというのはね。

:おっしゃるように会社は動いてないとその会社で働き続けようという意識が薄れていくと思います。

池田:うちは「三方よし」という、売り手よし、買い手よし、世間よしを方針に掲げていますが、売り手側、要は従業員に負担をかけて安く多売をしようとしていたのが、かつての日本のファストフード。でも、もう無理ですよね。

:それこそいわゆるマクドナルドさんが100円にしたり、吉野家さんが250円にしたり、低価格競争があった時期に、うちにも取材がありましたが、別に安売りしてるとは思っていないって話をずっとしていました。

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