丸紅が狙う電力ビジネス《総合商社のポスト資源戦略》

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 丸紅の今後の課題は、収益性を向上させつつ、いかにIPP資産を積み上げていくかにある。

入札価格を引き上げれば落札は容易になるが、当然ながら収益性は落ちる。豊富な資金を持つ政府が買い上げる中東のIPP案件は、一時期10社の入札価格が1%以内に収まるほど競争は激しかった。ファンドが撤退した今、競争は緩和しつつあるが、ファイナンス条件の悪化という新たな悩みも浮上している。

しかも、落札して終わりではない。「異常時に発電所を止めるのか、止めずに定期検査でチェックするのか。部品の在庫をどの程度持つか。事故の場合にサプライヤーとの責任分担をどうするか。こういったことで収益は大きく変わってくる」(柿木真澄・電力・インフラ部門長補佐)。IPPはローリスク事業だが、ローリターンの薄利に甘んじるか、より意欲的にミドルリターンを狙うかに、運営者の巧拙が如実に出る。

そこで、丸紅はステップアップに取り組み始めた。中南米では電力公社への売電ではなく、発電から送電、料金回収までの垂直統合モデルに踏み出したのだ。シンガポールやオーストラリアでも一部電力小売りにまで乗り出している。

さらに、「世界最大の市場である米国に本格進出したい」(柿木氏)という。米国はIPP事業の先進国で、実にさまざまな案件が存在する。当然リスクも高いが、IPPで世界のプレーヤーに伍していく野望を掲げる以上、避けては通れない関門だ。


(週刊東洋経済)
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