苦節23年、日立がついにトンネルを抜けた! 1990年度以来の最高営業益を達成

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日立の事業内容は幅広く、情報・通信システムや電力システム、建設機械など10セグメントに及ぶ。業績を牽引するのは、半導体製造装置、建設機械、高機能材料といったグループ子会社が担当する事業が目立つ。さらには消費増税前の駆け込み需要の恩恵もあり、自動車部品や白物家電などの民生機器も好調だ。海外では、中国での昇降機(エレベーター・エスカレーター)事業や、ATM(現金自動預払機)が牽引している。

社会インフラには課題

ただすべての事業が好調なわけではない。社会インフラでは海外のプロジェクトでトラブルが発生し、費用が膨らむ想定外の事態に見舞われた。国内の電力事業も、原子力発電所向けのメンテナンスが減っていることがあり採算悪化に苦しんでいる。

こうした事業ごとの浮き沈みとは別に、日立の業績を支えるのがコスト改革プロジェクト。グループで共同調達を進めるなどの効率化を進めることで、今期だけで1000億円ものコスト削減効果を生み出した。来期も同規模のコスト削減を計画しているという。

ただし来期は1000億円が丸ごと利益に上乗せされるわけではない。「事業開発投資に加え、海外の営業所や研究拠点の開拓に費用を振り向ける」(中村副社長)。日立は営業部門への投資を得意としてこなかったがゆえに、意識的に海外拠点の拡充を進めているという。

4月には中西宏明社長が会長兼CEOに就任し、東原敏昭執行役専務が社長兼COOに就任する。2人とも海外経験が豊富で、フットワークの軽さが身上だ。日立は構造改革によるコスト削減もあり、過去3期は営業利益4000億円台を安定的に稼ぎ出してきた。今期は成長路線に切り替えた初年度で、最高営業益を更新することができた。この勢いを持続することができるのか、新体制で臨む来期が試金石となりそうだ。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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