カルテル損失のみ込んだ海運決算の先行き 不透明要素は欧米の独禁当局
ふたを開けてみれば、「課徴金」のマイナスは完全に吸収――。
海運大手3社である日本郵船、商船三井、川崎汽船の2013年度第3四半期(2013年4~12月)決算が出そろった。今回の決算で注目されたのは3点。鉄鉱石などを運ぶバラ積み船の市況回復効果、製品・部品を運ぶコンテナ船の運賃修復の成否、そして、自動車船の「カルテル」に対する巨額課徴金のインパクトだ。
自動車船カルテル問題とは、邦船大手3社を含む国内外の海運各社が自動車を海上輸送する自動車船の運賃について価格カルテルなどを結んだ、というもの。日米欧の独禁当局がそれぞれ調査を進めている。
日本の公正取引委員会も2012年9月に海運各社へ立ち入り検査を実施。不当な取引制限があったと認定して、今年1月9日に日本郵船、川崎汽船のほか、商船三井子会社の日産専用船、北欧に本社を置くワレニウス・ウィルヘルムセン・ロジスティックスの4社に対し、独占禁止法に基づく排除措置命令と課徴金納付命令の内容を事前通知した。(関連記事:「国交省"公認"の海運カルテル、なぜ問題に」)
特損発生でも純利益は据え置き
公取委が独禁法違反行為を認定したのは、日本から海外への輸出車運送について。4社に対する課徴金総額は220億円に上るとみられる。独禁法違反の課徴金としては、自治体向けゴミ焼却炉建設をめぐる談合で、三菱重工業などプラント大手5社に納付命令が出された総額269億円に次ぐ規模となっている。
課徴金納付に備えて第3四半期に特別損失として、日本郵船が引当金135億円を、川崎汽船も57億円を計上した。一方、商船三井は「今期の業績見通しに課徴金支払いは入れていない。今後も入れなくてよいかどうかはコメントを控える」(田邊昌宏常務)と説明する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら