国交省"公認"の海運カルテル、なぜ問題に 日本郵船など4社に課徴金220億円

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「世の中の趨勢は独占禁止法の適用除外の範囲が狭まる方向にある。この状況に対処すべくあらゆる手段を講じているが、社員各自が独禁法順守を心掛けなければ画竜点睛を欠いてしまう」――。

海運カルテルにメスを入れた公正取引委員会(撮影:梅谷秀司)

1月6日に開かれた日本郵船の商事始め式で工藤泰三社長は、あいさつをこう結んだ。それは海運業界を襲うカルテル問題の行方を予期したものだったかもしれない。

海運首位の日本郵船と3位の川崎汽船は1月9日、公正取引委員会から独禁法に基づく処分に関する事前通知書を受領したと発表した。公取委は2012年9月、自動車船の価格カルテルなど独禁法違反の疑いがあるとして、各社への立ち入り検査を実施済み。「不当な取引制限」が認定されたことから今回、排除措置命令と課徴金納付命令を事前通知したものだ。

事前通知がなされたのは日本郵船と川崎汽船のほか、海運2位の商船三井の子会社である日産専用船と、北欧に本社を置くワレニウス・ウィルヘルムセン・ロジスティックスの4社。また、違反行為が認定されたのは、日本から海外への輸出車運送について。海外から日本に運ぶ輸入車運送は対象になっていない。

商船三井は自主申告

一方、2012年に同じく立ち入り検査を受けた商船三井は「事前通知書を受け取ったかどうかも含め回答を控える」とコメント。課徴金減免制度(リーニエンシー)の適用を受けたとみられる。これは、カルテルを公取委の調査開始前に自主的に申告し、調査に協力することで、課徴金の免除や減額が受けられる制度だ。同制度では、同じ企業グループ内の複数社が違反行為を共同申請した場合にすべての共同申請者に同じ減免率が適用されるが、商船三井は子会社・日産専用船との共同申請を行わなかったもようだ。

今回の自動車船カルテルで、公取委が4社に事前通知した課徴金は総額220億円規模。各社から今後出される反論や反証が認められれば課徴金の減る可能性もあるが、独禁法違反の課徴金としては今のところ、自治体向けごみ焼却炉建設をめぐる談合で三菱重工業などプラント大手5社に納付命令が出た総額269億円に次ぐ規模となった。

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