あの「大宮駅東口」再開発に感じる意外な大胆さ これまでの再開発の概念を覆す可能性も

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行政側からすると2001年のさいたま市誕生以来取り組んできた浦和駅東口の開発が一段落したことが挙げられる。新たな地域への投資が可能になったタイミングである。JR東日本にとっては1967年に建設され、築52年を迎えたルミネ1の建替えも含めた見直しの時期だ。

国による位置づけも大きい。2015年に閣議決定された「国土形成計画(全国計画)」を受けて翌年に決定された「首都圏広域地方計画」で、大宮が東北圏・北陸圏・北海道と首都圏をつなぐ対流拠点とされており、2017年には都市再生緊急整備地域にもなっている。

駅前大開発に乗り出したさいたま市

首都圏広域地方計画によると、大宮は西日本との玄関口となる品川と並び、「東日本からの多種多様なヒト、モノが実際に集結して交流する最初の対流拠点であり、企業の取引機会拡大や販路開拓、連携によるイノベーションの創出等の取組支援や、広域周遊観光ルート構築のための玄関口機能を果たすとともに、首都直下地震の発災時には首都圏の機能をバックアップするための最前線」であるという。

西日本の玄関口たる品川周辺で山手線やリニア新線の建設、周辺のオフィス街の整備など、巨大な開発が進んでいることを考えると、それと呼応する東日本の玄関口、大宮にもしかるべき機能が必要ということになる。

そこでさいたま市が2018年7月に策定したのが「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」である。これは市が2010年に取りまとめた「大宮駅周辺地域戦略ビジョン」のうちの、駅周辺のターミナル街区の構想を絞り込み、具体化したものだ。

「グランドセントラルステーション」といえばニューヨークのマンハッタンにある、44面67線の単一の駅としては世界最大の駅だ。それになぞらえた気宇壮大(!)な構想を解説する冊子冒頭には、4棟の高層建築物らしいシルエットが浮かび、駅前大開発という言葉を想起させる。

実際の中身を見てもビジネス、商業などの都市機能のさらなる導入や、駅東西を結び、回遊性を高める歩行者ネットワークの構築、交通、賑わいなどに資する駅前空間の新設など多岐にわたる。大半はほかの開発でもよく見かける文言である。

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