女性だけが獅子奮迅する社会はもう続かない 小室淑恵「男性の育児休業は義務化が必要だ」

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船橋:公立ですか。

小室:はい。公立を変えないといけないと考えています。

船橋:校長先生の権限でできるんですか。

小室:教育委員会です。教育委員会に、改革に意欲のありそうな校長先生を選んでいただいています。

利益のほとんどを公立や内閣府へ投入

船橋:すでに始まっているんですね。

小室:はい、弊社の利益をかなりの割合投入してでも学校と霞が関、そしてこれからは医療の働き方改革により一層力をいれていくつもりです。

霞が関の働き方改革も経済産業省、内閣府、海上保安庁などをお手伝いしてきました。

船橋:変わりましたか。

小室:まだまだですが、最近では霞が関の方とお会いすると、顔を見るなり「小室さんのおかげで、ついにわが省も働き方が変わってきましたよ!」とお礼を言われることが多くなりました。

しかしまだまだ、人間らしい働き方が出来ているような状態ではありません。昨今、霞が関の省庁の若手が、働き方のひどさをペーパーにしてマスコミに公表するようなことが増えました。優秀な人材ほど、霞が関からどんどん辞めて流出しています。政策を考える人材の質が落ちたら、それは国民にとって最も利益を損なっていることです。政治家からの要求が原因の、特に国会開催時期における異常な不夜城の働き方を変えていかなくてはなりません。この立ちはだかる壁は大きくて苦戦ばかりしています。私たちはここからもっと活動を広げて加速していくために、どこと連携していくべきでしょうか。

船橋:霞が関の省庁の若手がどんどんやめていくのはそのとおりですね。ここも民間同様、「働き方」も「動き方(流動性)」も「学び方」も変える必要があると思います。

ただ、私は「霞が関」という概念そのものを変えなければならないのではないか、と思っています。社会の新たなニーズを先回りする形で応えるための公共政策を立案し、それを動かしていくきわめて専門性の高い政策起業家が行政機構にとどまらず、社会の各層から「霞が関」に馳せ参ずるようなダイナミックな政府構築ができないだろうか、と考えています。

いわば、国家経営のガバナンス・イノベーションです。そういう政策起業への関心を持つさまざまな人々は、大学、シンクタンク、NGO、メディア、コンサルタンシー、それから企業のパブリック・アフェアーズ担当など幅広く存在していると感じます。そういう方々との連携を一緒に探求できたらすばらしいなと思います。

船橋 洋一 アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長

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ふなばし よういち / Yoichi Funabashi

1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒業。1968年朝日新聞社入社。北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年~2010年12月朝日新聞社主筆。現在は、現代日本が抱えるさまざまな問題をグローバルな文脈の中で分析し提言を続けるシンクタンクである財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの理事長。現代史の現場を鳥瞰する視点で描く数々のノンフィクションをものしているジャーナリストでもある。主な作品に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『カウントダウン・メルトダウン』(2013年 文藝春秋)『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』(2006年 朝日新聞社) など。

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