船橋:安倍政権の誕生後、内閣の「産業競争力会議」や文科省の「中央教育審議会」、内閣府「子ども・子育て会議」、経済産業省「産業構造審議会」、厚生労働省「社会保障審議会年金部会」など、内閣や省庁の司令塔の役割を果たす審議会などに入っていかれましたが、その辺りの経緯を教えてください。なにかきっかけがあったのですか。
小室:大きなきっかけは小池百合子さん(東京都知事。環境大臣、防衛大臣などを歴任)からのお電話でした。次男を出産した2012年のことでしたけど、月曜日の朝に、突然お電話をいただいて、「金曜日の国会の公聴会に出てくれないか」と言われたんです。自民党が野党の時代です。小池さんは「今、自民党は元気がないから、結構自由に公述人を選べるのよ。こういうときだから、あなたみたいな(普通だったら公述人に選ばれない)人が来て、バチーンとやったらいいと思うのよね」とおっしゃいました。そのときは37歳でした。
国会では与えられた時間が20分だったので、普段なら90分かけてする「労働時間に対する国家戦略の必要性について」というプレゼンを圧縮して、早回しで必死に伝えました。その日から、いろんな議員の方々から勉強会の講師に呼ばれる日々になりました。最初に講師のご依頼をいただいたのは石破さん(石破茂・自民党元幹事長。防衛大臣、農水大臣、地方創生担当大臣などを歴任)で、「この国のいちばんの有事はこの少子化なのではないか」とおっしゃられていました。
今の内閣官房副長官の西村康稔さんからも講師のご依頼をいただきました。2014年、安倍内閣の産業競争力会議の民間議員就任を依頼されたのです。青天の霹靂でした。
船橋:国会議員の勉強会ですか。彼ら結構、勉強しているんですね。
小室:すべての議員さんが良く勉強されているとは思いませんが(笑)、石破さんは勉強家でいらっしゃいますね。
安倍首相に直接プレゼン
船橋:がり勉型といってもいいのではないでしょうか。あの方は。「この国のいちばんの有事はこの少子化なのではないか」なんてあの“このこの石破節”が聞こえてくるようですね。話を元に戻しますが、「働き方改革関連法」のときには、安倍首相にプレゼンしたと御著書にかかれていますね。一国の総理に直接政策を訴えることができる人など、そういないと思いますが、どのような経緯で実現したのですか。
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