「Apple丸の内」9月オープンで吹き始める新風 停滞していた日本の直営店戦略が、再び拡大

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Apple 京都で行われた「Today at Apple」に登壇した長谷川徹氏。自身が開発したアプリを紹介し、実際にiPadを持って京都の街の建築スケッチをしながら、未来の四条通をデザインした(写真:アップル)

とくに注目すべきはApple 京都だ。6Kの大型高精細ディスプレーを備え毎日特別に開発された学習プログラムが展開される「フォーラム」、Apple製品以外のアクセサリーがいち早く販売される「アベニュー」、商談などに用いられる「ボードルーム」など、タウンスクエア店舗の機能がそろっていながら、精密な漆喰で壁が塗られ、店舗自体も巨大なあんどんをイメージさせる。

Apple Storeの新世代スタンダードと和の要素を高い次元で融合させており、現在のアップルが、人が集まる場所、体験を提供する場所のデザインに注力していることがよく現れている。

コミュニティーの「核」をばらまく

アップルは直営店について、最良の体験で製品を販売する場所から、アップルがコミュニティーの結びつきを取り持つ場へと、リモデルしている。毎日世界中でプログラムが開発されているセミナー「Today at Apple」では、地元のアーティストを積極的に起用し、Apple製品を生かした体験型授業を展開している。

例えば、過去記事でも取り上げたサンフランシスコで活動する日本人アーティスト、ミキマサコ氏は、サンフランシスコ・ユニオンスクエアのApple Storeでワークショップを行った。また地元・京都造詣大学で教鞭をとるニューヨークベースの建築家、Morpholio 長谷川徹氏も、京都の店舗のToday at Appleに登場し、独自で開発したアプリを用いた建築デッサン体験を7月に行った。

このように、アップルは直営店を、単に製品を売る場所としてではなく、ビジネス、デザイン、プログラミング、教育、アートといった人の生活に密接に結びつく分野の人同士をつなげる「核」として機能させようとしている。

これも、すでに14億のアクティブインストールベースが広がったApple製品から、いかにして新たな価値を生み出すか、という取り組みの1つといえる。同時に、こうした店舗での動きは、オンラインストア(アプリ)であるApp Storeや、Apple Musicをはじめとする各種サービスとも連動していくことになる。

Apple Storeは、アップル自身にとっても、iPhone依存の収益構造から脱却するヒントを得る重要な場所として、引き続き注目していくべきといえる。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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