「Apple丸の内」9月オープンで吹き始める新風 停滞していた日本の直営店戦略が、再び拡大
アメリカの出店は、人々が多く住むエリアで30分ほどクルマで走れば店舗にたどり着けるよう配置されている。そして、新製品に触れるチャンス、サポートや修理をしてもらう場所、アクセサリーを見つけ、製品を生かしたクリエーティブやビジネスの学び舎として足が向くよう作り込まれていた。
iMac、iPod、iPhone、iPad、Apple Watchと、奇想天外な新製品を次々に送り出してきたアップルにとって、最良の状態で展示し、触れる機会を提供しているApple Storeと、よくトレーニングされたスタッフは、消費者に新しい商品を理解してもらううえで重要な役割を果たしてきた。
Apple Storeのアメリカ外初出店は日本だった。東京・銀座に現在も営業を続ける「Apple 銀座」は2003年11月30日に、73店舗目の直営店としてオープンした。故スティーブ・ジョブズ氏も開店時に訪れた店舗を皮切りに、現在日本国内に8店舗を営業している。
2018年は新たな2店舗
日本におけるアップルの小売店戦略はアメリカのそれとは異なっていた。アメリカではアップルが自ら直営店を出して人の流れを作り出そうとしており、ほかの国でも同様だ。しかし日本では、家電量販店の中にAppleコーナーを設けてスタッフを配置する形で全国をカバーしようとしている。
これは家電量販店のポジションが関係する。実際アメリカに住んでみて感じたのは、「家電量販店にまったくときめかない」ということだった。とにかく商品数が少なく、棚もガラガラの状態で、面白いものが見つかりようがないからだ。それに比べ、日本の家電量販店はきちんと集客しており、アップルがこれを利用してきた。
そのため日本におけるApple直営店は特別な場所として、長らく大都市への出店にとどまってきた。しかし2018年に、再び出店攻勢をかけ始めた。
2018年4月に新宿、そして同年8月京都に新店舗をオープンさせ、日本でも「タウンスクエア」といわれる新世代店舗の展開が始まった。続いて渋谷店も新世代店舗へと改装され、現在表参道店が改装中だ。さらに2019年9月に丸の内にオープンさせれば、18カ月で3店舗という異例のペースとなる。
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