『せっかく有名企業に入った息子が…』(57歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談

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処方箋:『良い転職、悪い転職』

 じゃあ息子さんはどうすればいいのか、というと、これはもう20歳をとうに過ぎているわけですから、基本的には息子さんに決めさせてください。辞めるにはそれなりの理由があるのでしょう。

 90年代なら、入社3年以内の離職は、キャリア的に大きなマイナスでした。「石の上にも3年」の世界ですね。それすら我慢できないダメな奴だ、というレッテルを貼られていたわけです。

 ところが近年は第二新卒市場が急拡大し、キャリアらしいキャリアの身についていない若者が、むしろ歓迎される状況にあります(上場企業の約5割が、この層をターゲットに中途採用しています)。

 ですから、「他に行きたい会社を見つけた」「キャリアチェンジしたい」というような希望を持っているのなら、転職を決してネガティブに捉える必要はないでしょう。

 ただし、失敗する転職もあります。一番多いパターンは「なんとなく仕事がつまらないから」というもの。(どこのポータルサイトにも最近は必ず顔を出している)紹介会社の広告だけを見ると、まるで転職ですべてが解決するかのような印象を受けてしまいますが、もちろんそんなことはありえません。

 「つまらない」といって同業他社に転職したって、絶対そこもつまらないもんです。日本企業なんて、業界ごとの横並びですから。

 なので、まずは本人が「自分は何がやりたくて、なぜ今の会社に不満なのか」をしっかり自覚することですね。その上での親子の話し合いなら、あなたのアドバイスは彼にとって、非常に有益なものとなるはずです。なんといっても大ベテランですから。

 最後に一つ。うちの場合もそうでしたが、親というのは往々にして「子供には大企業で定年まで平穏に過ごしてほしい」と願うものです。

 ただそれは、守るべき家庭を持った人間のモチベーションなんですね。若い人間というのは、もっと無謀で、刹那的な生き物であるはずです。もし若者が親の話を従順に聞くだけの生き物だったら、我々はきっと今でもちょんまげを結っていることでしょう。

 どちらの生き方が幸せかは、誰にもわかりませんが、個人的には、20代はいろいろやってみて損はないと思います。

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