お金を増やしたい人が絶対にやってはダメな事 金融機関の話を聞くと徹底的にカモられる

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まず、定期預金の年7%という利率ですが、これは当初3カ月間だけにしか適用されず、それ以降は通常の定期預金利率になってしまうのです。つまり、年7%といっても、3カ月間の期間収益はその4分の1に相当する1.75%にしかならないのです。

「それでも普通の定期預金利率は年0.01%なのだから、3カ月間の期間収益が1.75%なら、それでも御の字ではないか」という意見もあるでしょう。でも、このプランにはもうひとつの落とし穴があるのです。問題は、定期預金と抱き合わせで買わされる投資信託です。Aさんが選んだアジア株ファンドの購入手数料は3.24%もあるのです。

「高い手数料」と「運用リスク」で500万の損

計算してみましょう。2000万円のうち1000万円を定期預金で運用しました。3カ月間の利率は年7%。3カ月間で実現する利息は17万5000円です。「ん?悪くないじゃん」という声が聞こえてきそうですが、残り1000万円でアジア株ファンドを購入する際に支払う購入手数料は、1000万円に対して3.24%ですから、実に32万4000円にもなります。

定期預金で17万5000円の利息が得られたのに、一方で投資信託を買うのに32万4000円もの購入手数料を支払わせられるのです。ちょっと計算すれば、これがいかにバカバカしいプランか、おわかりいただけると思います。

Aさんの場合、さらに大きな問題を抱えていました。アジア株ファンドの運用成績がガタ落ちになり、1000万円分を購入したのに、今の基準価額で計算したところ、何とほぼ半額の500万円程度にしかならなかったのです。それでも、ファンドによっては持ち続ければいつか回復するという期待も持てたのに、Aさんが買ったファンドは解約が相次いで運用資産がどんどん減り、ついに繰り上げ償還が確定したそうです。つまり、500万円まで目減りした資金が、1000万円まで回復する機会をえられず「強制終了」となり、償還によって現金が手元に戻ってきてしまいます。

これは悲劇としか言いようがありません。定期預金は元本割れしないものの、利率は低いままなので、投資信託で生じた損失をカバーすることなど到底できません。結局Aさんは、2000万円あった退職金をあっというまに500万円以上も減らしてしまったのです。

Aさんは、大学の後輩と称して近づいてきた支店長に、何かひとこと言わなければ気が済みません。支店に電話をかけて、支店長に出るよう伝えたところ、驚愕の答えが返ってきました。

「A様、申し訳ございません。支店長は先日の人事異動で〇△支店に赴任しました。もし何かございましたら、新任の支店長に伝えておきますが……」。聞くところによると、新人君もすでに他の支店に異動したとのこと。銀行にとってAさんは絶好のカモだったのです。傷心で私の元にお見えになったAさん、これからの生活を立て直すべく、ライフプランニングの再構築中です。

山中 伸枝 ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと代表

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やまなか のぶえ / Nobue Yamanaka

FP相談ねっと代表。一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。アメリカ・オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」ビジネスパーソンのためのライフプラン相談、講演を数多く手掛ける。大手新聞社主催のiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAセミナーの講師など登壇も多数。金融庁のサイトで、有識者コラムを連載。著書に『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(インプレス)、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『100人以下の会社のためのiDeCo&企業型DC楽々活用法』(日本法令)ほか。公式サイト

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