日本製中古車両の「聖地」ミャンマー鉄道の実情 鉄道インフラ輸出、大切なのは「人材教育」だ

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途上国において車両を壊す主要因は、皮肉にもオーバーホール(分解検査)にあるという。つまり、機器を分解して洗浄しているつもりが、逆に微小なゴミを混入させてしまい、故障を誘発するのだ。油まみれの床での作業などご法度である。

プロジェクトは現場に作業台を設置し、物品輸送にはカートを使用、ゴミを外部から持ち込まない、そしてゴミを現場に溜めないというところから始まった。ちなみに、燃料オイルを貯蔵したドラム缶にゴミや水が入ると、オイル内に微生物が発生するそうだ。死骸はヘドロとなり、エンジン故障の要因ともなる。ひとえにゴミを持ち込まないと言っても、ここまで徹底しなければならないのだ。

「考えさせる」ことが基本

こうしてスタートした「鉄道車両維持管理・サービス向上プロジェクト」は現在、「第1ステップ」の後半だ。技術の基礎を「考えさせる→質問させる→理解させる」というサイクルで定着させ、最終的には自ら改善のアイデアを出せることまでを目指すという。

千本松氏は、マニュアル的な作業手順でなくメンテナンスの基礎知識を教えることこそが重要であり、現状のように「分解しろと言われたから分解している」という状況では何度も同じトラブルを起こすだけだと語る。

同様に「予防保全をやりなさい」と教えたところで意味はなく、予防保全を行うには何が必要なのかというところを考えさせなければならない。車両がどんなシステムで動いているのかを知り、どこで、どうして問題が発生したのか、「なぜ」を繰り返すことで原因を探り、そして自分たちでできる対策を考えさせる。これでようやく予防保全の考え方に行き着く。

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