「スノーピーク」が地域体験ツアーを行う事情 キャンプ「ブーム後」にらみ、新事業に布石

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ツアーイベントの参加者は、このアパレル商品が生み出された土地に行き、スノーピークのテントに寝泊まりし、地元の食材を使ったBBQの夕飯でキャンプ体験をする。さらに、地域住民が集う夏祭りに参加し、地元の鹿踊や鶏舞、虎舞を鑑賞する。消費者を衣食住のすべてで地域とつなげるのが狙いだ。

今回のツアーイベント参加費は大人1名で2万4800円(交通費を除く)。参加者は約20人、アパレル商品販売と合わせても売り上げは限定的だが、山井副社長は「本気で新規事業としてマネタイズしたいと考えている」と意気込む。

過去のキャンプブームの「二の舞」をどう回避?

日本オートキャンプ協会によると、2018年のオートキャンプ参加人口は850万人と前年比1.2%の増。前年比プラスを6年連続で実現している。

スノーピークの業績も、2019年1~6月期の売上高は前期比15%増の68億円と2桁増を維持している。だが、1980年代終わりに始まったキャンプブームとその後のブーム崩壊で、スノーピークの業績は1993年をピークに6期連続の減収となった経緯がある。

再び訪れたキャンプブームが続くうちに将来の布石を打とうと、今2019年度は、新規事業関連を中心とした費用を前年比で10億円強積み増し、投資の年と位置づけている。

「キャンプ用品が売れて業績好調とはいえ、日本の総人口に対するオートキャンプ参加人口率はたった7%。体験型事業は、残り90%以上のキャンプをしたことがない人に広げたい」(山井副社長)

今後はツアーイベントをはじめとした体験型事業のほか、すでに立ち上がっている自治体と共同でキャンプ場を開発する地方創生事業や、グランピング事業、キャンプ用のテーブルやいすなどを住居やオフィス向けに提供するサービスなどを強化し、国内の顧客拡大を図る。7月にはアメリカに子会社を設立した。

「進化しないといずれ滅びる。アウトドアの枠組みを超え、ゆくゆくは『家』など生活の営み全般に事業領域を広げたい」(山井副社長)。今回のキャンプブームでは過去の教訓は生かされるのだろうか。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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