「スノーピーク」が地域体験ツアーを行う事情 キャンプ「ブーム後」にらみ、新事業に布石

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オートキャンプはキャンプ場の中まで自動車で乗り入れ、車の横にテントを張って自然の中で寝食を楽しむ。スノーピークは、キャンプ愛好家の間で知らない人がいないブランドだ。

山井副社長が入社したのは2012年。24歳のときだ。服飾関係の大学院大学を卒業し、国内ファッションブランドでのデザイナーアシスタントを経てスノーピークに入社。2014年、26歳のときにアパレル事業を立ち上げた。

【2019年9月26日15時54分追記】山井副社長に関する表記を一部修正いたします。

山井副社長がファッション業界から転職を決めたのは、家業の跡を継ぐためではなく、「見た目のきらびやかさ豪華さが重視され、はやり廃れがある使い捨ての洋服ではなく、長く使え、生活の豊かさを提案できる商品作りがしたかったから」(山井副社長)だ。

スノーピークの製品は、モンベルやアメリカのコールマンなど同業他社と比べて2〜3倍価格が高い。その理由は、多くの製品が優れた金属加工技術を持つ、新潟県燕三条の協力工場でつくられているからだ。素材や技術にこだわり、耐久性や持ち運びしやすい軽量性、安全性などを追求した国産製品だからこそ高価になる。

「高額な商品だからラグジュアリーなのではなく、人生価値を高める商品がぜいたく品、高級品だと思う。スノーピークなら、私が目指すラグジュアリーな洋服作りができる」(山井副社長)と考えた。

衰退する繊維産地や縫製技術に危機感

同社のキャンプ用品同様、日本製にこだわったアパレル事業を進める中で、コストの安い海外に生産拠点が移り、日本の繊維産地や縫製技術が衰退する現状に危機感を持った。行き着いたのが、冒頭の体験型プロジェクトだ。

8月の一関では、「洋服を通してその土地とつながる」(山井副社長)をコンセプトに、その土地ならではの風土や技法に特化したものづくりを進めている。

ツアーイベントで対談する山井梨沙副社長(左)と、京屋染物店・染物職人の蜂谷淳平氏(記者撮影)

スノーピークは、岩手県一関市で創業から100年以上にわたって半纏(はんてん)や法被、祭りの衣装を手掛ける京屋染物店と共同製作したアパレル商品を発売。昔ながらの技術で作られる生地を使い、地域の伝統的な祭り衣装をデザインに落とし込んだものや、和裁(直線裁ち)の手法で洋服に仕立てたものなどを展開している。

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