また、今日は晴れて洗濯日和だとか、梅の芽がほころんだという日常のささやか変化の中で充分に幸せを見出せる人や、社会的経済的な成功を捨てて、困難な生きがい実現のために人生を捧げたナイチンゲールやシュバイツァー、そしてゴーギャンの場合は、株の仲買人としての成功と引き換えに画家になったというように、生きがいの対象もさまざまです。
今日の問題は恵まれているといわれようと、何が生きがいか求めても解が得られない状況を私も経験しました。本当に不安なものです。私の場合は、どうでもいい仕事をわざわざ次から次と作って、とても忙しい状態に自分を追い込んでいました。
これは精神分析的には、大切な人を亡くしたり、忙しい子育てが終わったり次の目標もないままに仕事を終えた人が、その虚無感と向かい合うのが苦しくて、現実から目を逸らしたいために陥る精神的ごまかし行為なのだそうです。
「東に病める親戚がおれば、西に困った知人がおれば」と、どんな小さなことでも何か他者を手伝うことで感謝されると、その日の私の生が肯定されたようで安心できるのでした。50にして惑いました。
幸せな人は、他人をねたむ余地がない
ご自分の楽しみだけに生きる時期も必要だと思います。ご自身が成り立っていないのに、他人のために役立つことは難しいからです。まず難しく考えないで許される限り、いろいろなことに関心を持たれ、行動に移され、今は感性をさらに豊かに磨く時期だと割り切られてはいかがですか?
私の大の仲良しのFさんは78歳ですが、「仕事は忙しい人に頼め、噂話や他人を羨む時間は私にはない」が40代からの口癖です。いまも現役のビジネスウーマンでヒマ人相手に世話好きです。習いごとは囲碁・英語・お習字など10に近く、昨年の彼女のシャンソン・リサイタルは、「満員で貴女は招けなかった」というほど人気でした。世間様には関心なくマイペース。その元気でポジティブな生き方は、いつも私たちのお手本です。
「生きがいを感じている人は、他人に対して恨みや妬みを感じにくく、寛容でありやすい。自分より幸福な人に対するひそかな憎しみの念が入り込む余地がない」を地で行っている人です。
上の言葉は、今年生誕100年の精神科医・神谷美恵子先生の著作集からの抜粋です。私は貴女と同じ局面に立ったとき、先生の著書をたくさん読みましたので、今日のコラムはそのとき学んだことを中心に書きました。その中の「生きがいについて」からの引用ですが「生きがいを求める悩みはとても恵まれていて、精神が健康な証拠、進歩の源泉」なのだそうですよ。この言葉を貴女に贈ります。
子供がいなくとも、楽しく有意義な人生を送っておられる夫婦をたくさん存じ上げています。他人に対してのねたみ感情が入る余地がないほどに、貴女自身が感性をより高め、満たされる生きがいを焦らずに探してくださいね。
※ ミセス・パンプキンへの相談はこちら
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