小学校の「プログラミング教育」は何をすべきか 村田製作所「せんせいロボット」の教育効果

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授業を担当する村田製作所広報部の吉川浩一氏は「デジタルで無機質なロボットを動かすだけだと、コマンド入力を失敗してもすぐにやり直せばいいと思って、深く考えない。しかし、人間だと失敗したときに辛そうな状態になっていることが伝わり、申し訳なさからしっかり考えようとする」と狙いを話す。

授業の最後に、村田製作所の「チアリーダー」たちによるダンスが披露された(撮影:ヒラオカスタジオ)

実際に、子どもたちの中からは「次にその指示を出したら、しゃがんだまま歩くことになってかわいそうだよ」との声も聞こえてきた。人間がやるロボット役は子どもたちにとっても親しみやすい対象で、ロボットにひどいことをさせてはいけないと自然に思わせる効果がある。

さらに、「無理な動きや無駄な動きは人間でもロボットでもそのぶん余計なエネルギーを消費することになる。しっかりと考えさせることで目標に向かって合理的な判断ができるようになり、プログラミング教育の趣旨にも合っている」(吉川氏)と、人間ロボットの教育効果にも期待する。

出前授業で従業員満足度も向上

参加した子どもたちからは、「当たり前に動かしている自分の体の動きを理解できた」「動きをどう説明して伝えればいいか気づいた」などの感想が寄せられたという。人間が普段のコミュニケーションの中で、高度な判断を自然にできているという能力の高さを知る機会にもなっている。

講師役の社員は決してプログラミング教育を専門的に担当している社員たちではない。社員にとっても普段の仕事の考え方を、教育という社会貢献で実践できる楽しさがある。出前授業によって従業員満足度を高め、社内で自社の企業価値を再認識してもらえる。

村田製作所は今後も島根県出雲市、岡山県瀬戸内市など、同社の事業所がある地域の学校を中心にプログラミング授業を展開していくことにしている。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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