クールジャパン機構、見えない黒字化への道筋 新体制の下、国内外企業にハイペースで投資

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旧体制との違いは、「キャッシュフロー投資重視」「現地パートナー重視」「グローバルシナジー追求」など5つの投資ルールを掲げ、投資領域としてメディア・コンテンツ、ファッション・ライフスタイル、食・サービス、インバウンドの4分野を掲げたことだ。

加藤氏は「政策性という観点からは以前とまったく同じものを追求しているが、(収益性の観点では)事業基盤がすでに確立したもの、しかも海外で確立しているものを比較的重視している」と話す。

「決別」を印象づけた動画コンテンツ企業への出資

中でも旧体制との“決別”を印象づけたのが、新体制として第1号案件となる、アメリカの動画コンテンツ制作・配信企業「Tastemade」(テイストメイド)への投資だ。ゴールドマン・サックスやアマゾンなど、著名な大手投資家を割当先とする3500万ドルの増資の一角に食い込むという「幸運」も重なった。

新経営陣の第1号投資案件となったアメリカの動画配信企業「テイストメイド」の動画制作風景。日本食の料理レシピ動画などを配信する(2018年10月、記者撮影)

クールジャパン機構は約14億円を投じるが、その後三井物産がテイストメイドへの追加出資を決めるなど、クールジャパン機構が理想とする“呼び水効果”も発揮している。

新体制以降の9件の投資内訳は、メディアが5件に対し、インバウンドの投資はまだ0件。国内企業が4件、海外企業5件と海外企業への投資が目立ち、後述するEMW社のように、マジョリティ(過半数)出資の案件も登場した。

ビジネスを一から立ち上げる「ラフアンドピースマザー」と人工糸開発を行うベンチャー企業「Spiber」を除き、事業基盤が固まってキャッシュフローが出ている、手堅い企業への投資が増えている印象だ。

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