夏バテなのに「キノコ」「ワカメ」を欲しがる理由 健康志向で脚光を浴びるのは、この3社

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「追い風が吹いている」

キノコ専業大手であるホクトの森正博・専務営業本部長はほくほく顔だ。月次売上高(速報)は、2019年4月から7月に4カ月連続で、前年同月比と会社計画比ともに、実績を上回っているからだ。

同社の今2020年3月期の第1四半期は、売上高が157億円と前年同期比14%増で、営業赤字6億円と前年同期17億円から大きく減少するという、好スタートを切った。数量も価格もマイタケが前年を上回る状況で推移したのが大きい。ただ売上高の水準は不需要期なので依然低く、採算上では赤字が残ってしまった。

ホクトの主力品であるブナシメジの市場価格推移を見ると、2016年度から2018年度まで、4月から8月は価格が底ばい状態にある。秋冬の需要期にならないと高値で取引されないのが毎年のパターンだ。森氏は「野菜相場が堅調だったので、当社のブナシメジは前年比で価格が約1割アップした」とするが、それでも高止まりする人件費や運送費の負担増を吸収するのがやっと。第2四半期も数量は伸びが期待できるものの、価格は抑えられるので、営業赤字は避けられまい。

ホクトは今期、通期で営業利益27億円を会社計画として公表しているが、これを上回る可能性もある。需要期である秋・冬にブナシメジなどの既存製品に加え、昨年9月に発売した初のシイタケ製品「生どんこ」の出荷をいかに増やしいくかにかかっている。

ところでホクトは、通年で安定的にキノコを消費する、食習慣キャンペーン「菌活プロジェクト」を展開している。合計14億円近くの広告宣伝費と販促費を年間で投入。不需要期はその重点シーズンだ。7月から8月の2カ月、TOKYO FMなどで冠番組を放送、NEXCO東日本とタイアップし、一部のPAやSAでキノコメニューを振る舞っている。

食事制限せずにダイエット効果も?

そのホクトの第1四半期を牽引したのはマイタケだが、このマイタケで市場シェア5割を超える専業が雪国まいたけだ。同社は経営混乱から、アメリカの大手投資ファンドであるベインキャピタルに経営支援を仰ぎ、2015年6月、ベインキャピタルの傘下ファンドを通じて株を100%保有され、東証2部上場は廃止された。以降は経営再建に傾注し、その動静が聞こえてこなくなった。

それでも2019年3月期は、売上高313億円で営業利益45億円と、営業利益率10%超を記録。ライバルで東証1部上場のホクトが前期、売上高701億円、営業利益35億円だったことから、いかに雪国まいたけの儲けが大きいかがわかろう。

雪国まいたけのマーケティング部、長南史香氏によると、「マイタケは数年来ブームが続いており、店頭価格は他社商品より多少高い」とみる。

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