夏バテなのに「キノコ」「ワカメ」を欲しがる理由 健康志向で脚光を浴びるのは、この3社

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ブームが到来したきっかけは、地上派のテレビ番組で「食事制限をせずにダイエット効果がある」などと、有名タレントが減量に取り組んだ企画だった。そもそもキノコ類は食物繊維が豊富なので、便秘に効果的とされる。またマイタケだけに含まれる成分の「MDフラクション」のおかげで、免疫力の機能を高める可能性が広まり、感染症や夏バテに効くヘルシー食材として、幅広い消費者層に評判が広まった。

食品スーパーなどの小売店は「テレビの情報番組に取り上げられると好反応を示してくれる」(長南氏)。

イトーヨーカドーはPB品である「顔が見える食品。」で多彩なキノコ類を扱う。そのうちマイタケの全量は雪国まいたけが供給している。ほかにも、イオングループやライフコーポレーションに対して専用商品を卸しており、外資系の個人会員向け卸売りのコストコには500gの大容量パックを出荷している。

雪国まいたけの快進撃は止まらない。2018年8月には滋賀県に西日本の出荷拠点を開設したが、需要に追いつかないほど稼働状況がいい。

大株主のベインキャピタルは2017年9月、コメ卸最大手の神明に対し、雪国まいたけの間接出資持分の49%を譲渡し、神明の経営基盤を生かすという戦略に打って出た。2019年3月にはタカラバイオのキノコ事業を譲り受け、商品開発力の向上に役立てる戦法に出た。かつてベインキャピタルは、早ければ2020年中に雪国まいたけを再上場させたいと意欲を示したことがあり、がぜん目が離せない企業となっている。

卵焼きやお好み焼きにも混ぜ合わせる

テレビの情報番組で健康面の効能が取り上げられ、今シーズンに売れ行き好調な食材は、実はキノコだけではない。ワカメもだ。

NHKは2018年6月に健康クイズ番組『ガッテン』で、「魅惑の食材わかめ!未知との遭遇」と題した番組を放映した。波やうねりの強い海で成長するワカメは、過酷な場所でも簡単に折れないよう、アルギン酸という食物繊維で体全体を守っている。その特別な成分を調理で引き出すコツを伝授する内容である。

卵焼きやお好み焼きにワカメを混ぜ合わせるなど、番組内で紹介されるや、その後もさまざまなメディアにおいて、みそ汁や酢の物といった定番以外のメニュー提案が続いている。ワカメ摂取の効能は、整腸作用や血糖値上昇抑制、免疫力アップなど、国内の学会で学術論文が出されている。

理研ビタミンのグループ会社・理研食品の大船渡工場では、女性従業員がワカメの処理を手作業でこなす(写真:理研ビタミン)

そうしたワカメの健康イメージの盛り上がりを、事業の活性化に結び付けようと躍起なのが、乾燥ワカメ事業をルーツとし、「ふえるわかめちゃん」「青じそドレッシング」で家庭用市場を切り開いた、東証1部上場の理研ビタミンだ。

生ワカメはキノコ類と同じく、乾燥すれば保存できる日本の伝統食材。2013年以降、6年連続でワカメ事業の実績は2ケタ成長しており、生産・出荷の規模拡大を目標に掲げている。家庭用にとどまらず、業務用は岩手県大船渡工場に個別で急速冷凍機を整備、冷凍ワカメを通じ、中食・外食市場や老人向け施設、学校、病院などの給食市場の拡販に力を注ぐ。

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