「会社に行きたくない気分」を変える3つのコツ 「その場しのぎの対処法」ほど役に立つ

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このように、コーピングの方法というのは人それぞれであり、状況によっても多種多様です。僕の提唱している性格分類(体癖論)には「7種体癖」というタイプがいます。

声が太くて親分肌で、人情家のタイプですが、このタイプはピンチになると、わざわざさらに自分を苦境に追い込むような問題を新たに抱えようとするという行動傾向があります。

これもまたコーピングの1つと言えそうですが、もちろん万人におすすめできる方法ではありません。その人のタイプや置かれた状況、ストレスの重さ、頻度によって、コーピング方法を選ぶことが大切だということです。

自分に合った「その場しのぎ」の方法を持っておくこと。それは、日常のトラブルに対する耐性を高めると同時に、ストレスを限界までため込まないためにも決して軽んじられないポイントなのです。

原因を切り分けるだけでも、心は軽くなる

コーピングの基本は、ストレスの原因を、可能な範囲で「切り分ける」ことです。

独立してクリニックを開業する前、僕は公立病院で勤務医をしていました。そのときはよく、朝起きるたびに“仕事に行きたくないな”とおっくうになったものです。ただ、それがなぜかということを自分なりに分析してみると、仕事のなかで避けて通れないいくつかの「作業」が嫌になっていた、ということに気がつきました。

僕が憂鬱だったのは、火曜日の朝でした。火曜日は外来がある日だったのですが、別に、外来診療そのものが苦痛だったわけではなく、診察の後の処方箋や報告書を書く仕事が、とてもおっくうだったのです。

朝起きて“会社に行きたくないなあ”と思った。そのときに「それはなぜなのか?」と自分自身に問いかけてみる。毎日顔を合わせる同僚に、嫌な人がいるからなのか。苦手意識のある作業があるからなのか。ストレス全体を捉えようとするのではなくて、その一部でもいいのです。何がストレス源(の1つ)になっているかを、焦点を絞って具体的に発見してみてください。

ストレス源の輪郭がある程度見えてくれば、次に、それが自分の仕事全体のうち、何割を占めているのかを考えてみましょう。ストレス源となっている仕事というのは、実はせいぜい、全体の1~2割程度しか占めていない、ということが多いものです。そのことに気づくだけでも、仕事に対するおっくうさがフッと軽くなってくるはずです。

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