「会社に行きたくない気分」を変える3つのコツ 「その場しのぎの対処法」ほど役に立つ
うまくイメージの中に集中できたとしたら、目安としては、水面が膝ぐらいより下ならまだ余裕あり、腰くらいであれば「ちょっと煮詰まってきている」状態、胸以上なら「要注意」と、一応僕は考えています。
そういう意味では、水位が上半身に達しているときの、“会社に行きたくない”は、まさに「辞めどき」のサインと考えてもいいかもしれません。
もちろん、これは自己診断ですので、主観的な目安にすぎません。ただ、自分が今感じているストレスや、それに対処しようとしている自分の状態が、どれほど切迫しているのかをチェックする方法としては意外に有効なので、覚えておいてほしいと思います。
「その場しのぎ」こそが大切
さて、「湖の中に立つ自分」をイメージしたとき、水位も低いし、水も淀んでいない。身体にもそれほど倦怠感があるわけではないということであれば、あなたが「今日は会社に行きたくないな……」と感じているのは、長期的なストレスの表れというよりは、その日の心身の状態がたまたまよくないからだと、ひとまずは捉えていいでしょう。
そのときに必要となるのが、ストレスに対する「コーピング」です。コーピングという言葉には深い意味・浅い意味、つまり多様な意味があるのですが、ここで私が言うコーピングはそのうちで対症療法的な部分を指しています。あえてわかりやすく言えば、問題を根本から解決するということをひとまず棚上げして、「その場しのぎの対処をする」ということです。
ミント味のガムをかむと、口の中がスーッとします。ガムには別に、口臭の原因となる口腔内の細菌を殺す成分は入っていません。でも、口臭や、口の中の気持ち悪さは解消される。ストレスに対するコーピングとは、いわば、この「ミント味のガム」のようなものです。
「その場しのぎでは意味がない。問題は根本的に解決しないといけないんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日々を生き抜くビジネスマンのストレスマネジメントにおいては、その場しのぎ、すなわちコーピングをうまく使いこなすことが、実際には結構大きなカギとなります。
コーピングには、さまざまなバリエーションがあります。例えば、数日休みをとって温泉に行くなどして、しっかりと休まないとストレスから解放されないときもあれば、目を閉じて3回深呼吸をすれば、ある程度気分が落ち着くときもあります。
あらゆる芸術活動というのは、コーピングとしての側面を持っています。怒りや悲しみ、絶望や倦怠感といったマイナスの感情をアートに昇華した絵画や音楽作品は数知れずあります。カラオケボックスで熱狂的に歌って発散するのも、映画を観るのも、逃避行動としての側面を持っているでしょう。
作家の立花隆さんが以前、インタビューで「原稿が行き詰まると料理をつくる」という話をされていました。僕も、原稿の最後の3行が出てこないときは、10分ほど散歩に行くことがあります。そうすると戻ってきたときに、フッといい言葉が降りてくることもある。これも原稿のプレッシャーから解放されるためのコーピングとしての側面があるといえるでしょう。