iPhone依存率が50%を切ったアップルの転換点 アップル第3四半期決算で注目すべき点は?
アップルによると、中国国内で物品税を減免するなどの消費テコ入れ策が打たれたこと、また価格調整(値下げ)や、App Storeの成長などによって、売り上げが戻ってきたとしている。
米中の問題は、アップルにとっては重大だ。すでに最新モデルのMac Proのパーツについて、トランプ大統領は関税の免除に含まれないことを明らかにしており、アメリカの顧客はより大きな負担を強いられることになる。
ティム・クックCEOは中国での製造の多くを他国に移管することは考えていないと言う一方で、前モデルまでアメリカで製造してきたMac Proについて、引き続きアメリカでの製造をしたいとの考えを見せたが、具体的な計画は明らかにされなかった。
Apple Payは今年、さらなる成長
サービス部門はアップルの脱iPhoneにとって最も重要で、すでに成長の成果を上げている分野だ。
2019年第3四半期は、売上高114億5500万ドル、前年同期比12.6%増。前年と比べた成長はいく分鈍化傾向を見せているが、Mac、iPad、ウェアラブル、ホーム部門の2倍の売上高を誇り、アップル全体の売り上げの21%を占める存在となった。
アップルは同社が抱えるサブスクリプション契約者数を4億3000万人と公表し、前四半期から4000万人増えたことになる。この数字は2020年までに5億人を目指しており、早期に実現しそうだ。
Apple Payの成長を表す電話会議で印象的だった表現は、これまで数字を比較していた対象がモバイル決済プラットフォームのSquareだったが、今回名前を挙げたのがPayPalに変わった点だ。PayPalはeBayに買収された国際的に認知の高い決済サービスで、先述のFortune 200企業の売り上げ規模に並んでいる。
今回ティム・クックCEOは、Apple Payについて、PayPalよりも多くの新規ユーザーを獲得しており、月間決済数は4倍早く成長していると指摘した。なお、決済回数は月間10億回で、1年前の2倍に上る。
アップルはアメリカで8月から、独自のクレジットカード「Apple Card」を順次受付開始する予定だ。Apple Payの決済単位での収入に加えて、クレジットカード利用の手数料も手にするようになり、売上高での成長速度はさらに加速することが見込まれる。
2019年はアップルにとってサービス戦略を加速させる年となっており、Apple Cardに加えて、ゲームサブスクリプションのApple Arcade、そしてストリーミングサービスのApple TV+の立ち上げを控えている。サービス部門の売り上げを加速させる材料は、まだまだそろっている状況だ。
アップルはiPhoneの売り上げに左右される体質の改善を図ってきた。iPhoneを高付加価値化し、販売台数減少の中で売上高を確保できるようにする体制を整えつつ、iPhoneユーザーに対して魅力的なウェアラブル製品やサービスを整えてきた。
iPhoneユーザーがアップルの新しい製品やサービスに支出し続けるわけではなく、必ずしもこの戦略が成功するとは限らない。その一方で、iPhoneが放つブランド力だけで牽引しているわけでもない。
アップルは各製品やサービスについて、既存の問題点の解決を、技術やデザイン、インターフェース的に行っており、この点がアドバンテージとなっている。とくにAirPodsは、ワイヤレス技術の実装で他社製品を圧倒する性能とコンパクトさを実現してきた。
アップルには、決算発表前のタイミングで、デザイン最高責任者のジョナサン・アイブ氏の退社、インテルのスマートフォンモデム部門の買収といった非常に大きなニュースがあった。この動きは、アップルがいま乗り越えるべきは技術的な課題であって、デザインでの牽引のフェーズではないことを、表しているのかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら