iPhone依存率が50%を切ったアップルの転換点 アップル第3四半期決算で注目すべき点は?

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この数字はiPadの売上高より多く、Macとも同じ規模になった。Apple Watchは2015年に発売されたが、4年間でプラットフォームを構成する主要製品と同規模にまで急成長したことがわかる。

ティム・クックCEOは中でもApple Watch、AirPods、Beats製品を含むウェアラブル製品の成長の力強さを指摘している。前四半期までは、AirPodsの製造が需要に追いついていないことを指摘してきたが、今回その指摘はなかった。

ウェアラブル部門はFortune 200企業と同等の売上高に成長したとしている。売上高のランキング200位前後の企業には、Nordstrom、Netflix、TI、PayPal、Goodyearといった著名企業が肩を並べており、年間157億ドルの売上高を誇る。Apple WatchとAirPodsはこれと同等の売上高になった、ということだ。

ウェアラブル製品については、先述のiPhoneユーザー向けのアクセサリーという性格が依然として強い。アップルはiPhoneがiPhoneへの依存度を下げる戦略を、iPhoneが作り出したユーザーベースを用いて行っていることがわかる。

Mac、iPadのテコ入れ策に成功

今回の決算では、Mac、iPadも堅調な成長を見せた。

Macは売上高58億2000万ドル、前年同期比10.7%増となった。とくに日本・アメリカで過去最高の売り上げを記録し、5分の4の地域で売上高が上昇したという。

またiPadは売上高50億2300万ドル、前年同期比8.4%増だった。2014年を頂点に長い低迷を続けてきたタブレットだったが、3期連続で前年を上回る成長を見せた。

アップルはWWDC2019で、ハイエンドモデルとなるMac ProとPro Display XDRを発表した。しかし発売は秋とアナウンスされており、まだ売上高には含まれていない。

アップルは2019年に入って、Mac mini以外のMacを順次刷新してきた。また5月にはiPad Air・iPad miniを、最新のA12 Bionicプロセッサーを搭載して、中間的な価格帯のiPad製品を作り出した。

こうしたマイナーチェンジを素早く展開したことが、売り上げ増につながっている。

アップルは秋に向けて、複数の製品を準備していると語っており、現在噂されている10インチクラスの廉価版iPadや、16インチにディスプレーが拡大するMacBook Proなど、iPhone、Apple Watch以外の製品の登場にも期待できる。

中国市場は、米中貿易戦争以前から、難しい局面を迎えてきた。iPhoneが爆発的に売れた2014年にアップルの中国市場は急拡大したが、その後より価格が安い中国メーカーのスマートフォンの台頭によって、アップルは苦戦を続けてきた。

ここ最近の決算を見ると、前年同期の20〜30%減という数字は珍しくなく、文字どおり苦戦が続いてきた。しかし今回の決算では、依然として売上高は減少したが、その幅は4.1%減と大きく改善を見せた。

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