米FRBが緩和縮小を継続 債券購入100億ドル縮小、月650億ドルに
[ワシントン 29日 ロイター] -米連邦準備理事会(FRB)は29日、連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、2月から債券購入額を月額で100億ドル減らし、計650億ドルにすると発表した。
決定は市場の予想通り。新興国市場の混乱が懸念されるなかでも、量的緩和縮小の継続を決めた格好だ。
購入額は国債が350億ドル、エージェンシー発行モーゲージ債(MBS)は300億ドルとし、50億ドルずつ減額する。
決定は全会一致。2011年6月以降で初めて反対票が出なかった。
失業率が6.5%を下回っても、特にインフレ見通しが2.0%を下回る場合、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をかなりの期間ゼロ―0.25%に維持する公算とし、低金利政策も維持した。
FOMC声明では「ここ数四半期で経済活動は上向いた」としたほか、労働市場については「指標はまちまちだが、全般的に一段と改善した」と指摘。国内経済の見通しに、これまでよりも若干明るい見方を示した。
バーナンキ議長にとって、今回の会合が最後となった。
声明発表を受け、米国株式相場は下げ幅を拡大。米国債価格は上昇し、指標10年債利回りは昨年10月下旬以来の低水準をつけた。外為市場ではドルが対ユーロで上昇した一方、対円では下落した。
ウエストウッド・キャピタルのマネジングパートナー、ダニエル・アルパート氏はFOMCの決定について「2014年中に量的緩和第3弾(QE3)を終わらせるとのFRBの強い意志が継続していることを示している」と指摘。「QE3の賞味期限は切れた」と述べた。
<フォワード・ガイダンスは変更せず>
失業率が足元6.7%と、基準値の6.5%に迫るなか、一部の市場関係者の間ではFRBが今回、金融政策の先行きを示す指針である「フォワード・ガイダンス」を変更するのではないか、とも見られていたが、変更はなかった。
今月発表された昨年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比7万4000人増と、市場予想の19万6000人増を大きく下回り、2011年1月以来約3年ぶりの小幅な伸びにとどまった。一方、消費支出や貿易関連などその他の指標は、景気回復の底堅い足取りを示唆する内容となっている。
FRBは2012年9月に現行の米量的緩和第3弾(QE3)を開始。昨年12月には当初月額850億だった債券買い入れ額を同100億ドル減らし、計750億ドルとすることを決定した。
<新興国市場への言及なし>
バーナンキ議長は昨年の記者会見で、雇用の伸びが予想通り継続すれば、債券買い入れは今年の大半を通じて「慎重な(measured)」ペースで縮小し続ける公算が大きいとの見方を示していた。
ただ、ここにきて新興国市場が一転して不安定となり、通貨や株価が急落している事態を受け、市場ではFRBが今回、買い入れ額の縮小を見送るのではないか、との憶測も広がっていた。
声明には、新興国市場急落への言及はなかった。
新興国の通貨や株価は29日も下落。トルコや南アフリカの中銀が積極的な利上げに踏み切ったものの、FRBの緩和縮小が嫌気された。
FRBでは、バーナンキ議長の退任に伴い、イエレン副議長が新議長に就任する。イエレン氏は次回3月18─19日のFOMCから議長を務める。
*内容を追加して再送します。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら