「LINEの街」福岡市で見たスマホ生活の未来

決済や公式アカウントまで全面タッグを推進

それはスマホ利用者の多くが毎日使うアプリの中に決済サービスがある点だ。LINEの国内月間利用者数に占める毎日利用する人の割合は86%と、他社アプリに比べても高い。

さらにアプリ内には出前サービスの「LINEデリマ」やネット通販の「LINEショッピング」、企業からのメッセージやクーポンを直接受け取れる「公式アカウント」といったファミリーサービスも豊富だ。これはLINEペイからすれば、決済だけ、還元だけではなく、LINE内のほかの機能と絡め、生活に根ざした付加価値を提供しやすいともいえる。

この点は他社も一目置く。スマホ向けのバーチャルプリペイドカード事業を手がけ、スマホ決済業界全般に詳しいカンムの八巻渉代表は「利用者同士で行える送金サービスは(同じ機能を提供している各社の中で)最も使い勝手がいい」と指摘する。加えて、「スターバックス コーヒー ジャパンとの提携など、オフラインでの体験をどう設計するか、LINEは他社より意識が高い」(同)。

162万人に上る福岡市の「友だち」

福岡市での取り組みの旗振り役となったのは、高島宗一郎市長だ。LINEとは2016年10月に「情報発信強化に関する連携協定」を締結。さらに2018年8月にはその範囲を拡大する新たな連携協定を締結し、ほかのネット企業以上に密な取り組みを行っている。

LINEペイと並ぶ顕著な施策は、2017年に開設した福岡市のLINE公式アカウントだ。市の人口が約159万人なのに対し、同アカウントの「友だち」登録数は約162万(いずれも2019年7月時点)。スタンプ取得目的のユーザーも一定数いるとみられるが、災害情報などを見るため、周辺自治体の居住者が登録しているケースもある。

従来、ホームページやツイッターで市政情報を発信してきたが、「欲しい情報だけ、欲しいときに手に入れられる仕組みを作りたかった」(福岡市・総務企画局企画調整部の井上雄介企画課長)。

福岡市の公式アカウントでは、住民が求める情報を選んで受け取ることができる(記者撮影)

そこでLINE公式アカウントでは防災、子育て、ゴミの日など、受け取りたい情報をトーク画面から設定できるようにした。設定した項目内で居住エリア、子どもの誕生日などを選択すると、自分や家族と関係の深い情報だけ受信することができる。

中でも重宝されているのがゴミの日の通知だ。毎週すべてのゴミの回収日について受信する、月に1度の空き瓶・ペットボトル回収日だけ受信するなど、パターンが選べる。

これまで電話・ネット経由で行っていた粗大ゴミの回収受け付けがLINEで行える仕組みもある。粗大ゴミ処理手数料について、7月からは一部地域でLINEペイによる決済も導入。コンビニなどに出向いて支払う必要がなくなり、同地域では回収受け付け全体の30%近くがLINE経由となっている。

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