「LINEの街」福岡市で見たスマホ生活の未来 決済や公式アカウントまで全面タッグを推進

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福岡市内で全面展開する傘のシェアリングサービス「アイカサ」は、LINEペイを使えば格安で使用できる(記者撮影)

これ以外にも、公園の遊具や道路の不具合を担当窓口に通報できるシステムや、市内で全面展開する傘のシェアリングサービス「アイカサ」をユーザーが利用する際、LINEペイを使えば料金が格安になるキャンペーンも始まっている。外部の企業や団体、あるいは市民との共創でサービス提供範囲を広げることは、福岡市、LINEの双方が今後の重要テーマとして掲げる。

千葉県や長野県にも広がるLINEの取り組み

こうした福岡市との取り組みを現地で主導するのは、LINEが2013年に設立した第二拠点・LINE Fukuokaだ。現在社員数は1000人を超え、この5年で倍以上に増えた。かつては本社業務の補助的な役割が主だったが、今は独自の企画・開発・運営部門も備える。

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地方拠点は営業やカスタマーサポート部門のみ、といった企業が目立つ中、LINE Fukuokaのようなケースは珍しい。人材サービス企業・ランスタッドが6月に発表した調査によれば、LINE Fukuokaが「福岡県で働きたい企業」の首位に立った。

「(福岡の社員は)自分たちこそがLINE社の”イノベーション担当部門”だと勝手に思いながら経営している」。LINE Fukuokaの鈴木優輔取締役COOはそう話す。今後は福岡市との取り組みを中心に、「福岡という立地を生かしてアジア圏を視野に入れたソリューションも積極的に検討していきたい」(同)。

LINEの地方での取り組みは福岡市以外でも広がりを見せている。千葉県市川市では住民票の写しの取得申請がLINEのトーク上で行え、手数料はLINEペイで支払える仕組みを導入。長野県は中高生向けにいじめ相談などを受け付けるLINE窓口を開設する。

一方で課題も見えてきた。「導入したいと言ってくれる自治体はあるが、企業に比べ割ける予算が少ないなどの事情がある」(LINEの江口清貴・公共政策担当執行役員)。6月に新しく掲げた「Life on LINE」という目標を実現するには、福岡に続く事例をどれだけ生み出せるかが重要だ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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