18きっぷ、「時間と心に余裕を生む」ひと工夫 遅延やトラブルだって鉄道旅の楽しみだ

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他の切符との使い分けにも触れる。18きっぷで旅をしていると、時間の都合上、新幹線や特急列車を使う場面が出てくる。もちろん、別途乗車券と特急券が必要だ。新幹線でも隣り合った駅間であれば、自由席特急料金は原則的に860円なので効果的に使うことが可能だ。このような短区間の利用では気にとめる必要はないが、長距離の場合、意外な落とし穴がある。

例えば首都圏に住む人が、東京から松山まで行くことを考えてみる。

東京―岡山間を新幹線、岡山―松山間を18きっぷの移動とする。岡山-松山間の普通乗車券は3930円、18きっぷは1日あたり2370円なので、よい活用方法に見える。ところが、JRには遠距離逓減制という決まりがあって、遠方になると距離あたりの単価が安くなるのだ。運賃は以下となる。

・東京都区内―岡山間 1万0480円
・東京都区内―松山間 1万2250円

その差額は1770円。18きっぷは利用せず、通しで松山まで買うのがよいということになる。

「週末パス」との使い分けも

JR東日本には甲信越から南東北まで8730円で土日の2日間、フリーで乗車できる「週末パス」がある。別途料金を払えば新幹線や特急も使えるし、しなの鉄道など14もの鉄道会社線にも乗車できるスグレモノだ。

私はJリーグが好きでジェフユナイテッド市原・千葉を応援している。シーズン中はなるべくアウェイの試合も現地で観戦するため、18きっぷは強い味方で、使う機会は逃さない。

日曜にアルビレックス新潟戦のナイターがあり、旅を兼ねて土曜に東京都区内から出発し、日曜に試合を観て帰るプランを考える。月曜日は仕事のため、帰途は新幹線を利用しようと思う。すると新潟―東京間の乗車券5620円と新幹線(自由席券)4430円が必要となる。

このケースで18きっぷを使うと、4740円(18きっぷ2日分)+5620円(普通乗車券)=1万0360円となるので、8730円で済む週末パスを選択するほうが安価になる。昨年7月29日(日)のアルビレックス新潟vsジェフ千葉戦では、こんな理由で私は週末パスを選択した。

2例書いたが、残りの使用日数を勘案して18きっぷを使ってしまってもよい。これらは日数調整の知恵でもある。

18きっぷと似たものに「北海道&東日本パス」や「旅名人の九州満喫きっぷ」がある。前者はJR東日本、JR北海道と一部の第三セクターの普通・快速列車に7日間乗り放題(連続利用が条件)で1万0850円、後者はJRに限らず九州内のすべての鉄道の普通・快速列車に3日分1万0800円で乗り放題だ。どこに行くのか、どんな行程にしたいのかで選択したい。

他にもJR東日本「あおもりホリデーパス」「えちごワンデーパス」、JR東海「青空フリーパス」「休日乗り放題きっぷ」、JR西日本「北陸おでかけパス」等があり、18きっぷの5日間で足りなくなったら、これらで補完するのもよい。

時間と心に余裕をもって18きっぷの旅を楽しみたい。

八田 裕之 週末旅行家

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はった ひろゆき / Hiroyuki Hatta

1967年生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)工学部電子通信工学科卒。JR全線完乗した鉄道ファンにして、Jリーグをこよなく愛する。平日は会社員だが休日はJリーグ遠征で全国奔走の日々。フュージョンバンド「Quiet Village」のリーダーとしてギターと作曲を担当、オリジナルアルバム発表、鉄道コンピレーションアルバム参加など、音楽活動も行う。

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